連載コラム・日本の島できごと事典その135《離島甲子園》渡辺幸重

村田兆司さん(離島甲子園公式サイトより)

【LapizOnline】「甲子園」というと春と夏の全国高校野球大会を思い浮かべますが、「離島甲子園」と呼ばれるイベントが毎年開催されていることをご存知でしょうか。正式には「国土交通大臣杯全国離島交流中学生野球大会」といい、全国の島から中学生の軟式野球チームが参加してトーナメント方式で試合を行うもので、島の若者が交流し、人材育成や地域振興につながっています。離島甲子園は“まさかり投法”で有名な元プロ野球選手の村田兆司さん(1949-2022)の提唱で始まり、村田さんがライフワークとしたことでも知られています。 “連載コラム・日本の島できごと事典その135《離島甲子園》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典その134《遺骨返還訴訟》渡辺幸重

百按司墓(今帰仁村「百按司墓木棺修理報告書」より)

【LapizOnline】第二次世界大戦前の日本で旧帝国大学の人類学者が研究のためと称して北海道・樺太のアイヌ人や奄美・沖縄の墓から人骨を大量に持ち出しました。戦後、返還を求める運動が起きており、アイヌ人の遺骨の一部などが返還されていますが、多くの遺骨が未返還のままです。沖縄では琉球国王家の子孫にあたる沖縄県民ら5人が遺骨の返還を求めた訴訟(琉球民族遺骨返還等請求事件)を起こしました。 “連載コラム・日本の島できごと事典その134《遺骨返還訴訟》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典その133《ヤマネコ》渡辺幸重

ツシマヤマネコ(「対馬野生生物保護センター」サイトより)

日本に生息する野性のヤマネコには、長崎県・対馬(つしま)に棲むツシマヤマネコと沖縄県・西表島(いりおもてじま)に棲むイリオモテヤマネコの2種類があります。どちらもベンガルヤマネコの亜種とされており、ツシマヤマネコは国の天然記念物と国内希少野生動植物種に、イリオモテヤマネコは国の特別天然記念物と国際保護動物に指定されています。 “連載コラム・日本の島できごと事典その133《ヤマネコ》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その132《雨水生活》渡辺幸重

五木の子守唄に「水は天からもらい水」という文句があります。「水は天の都合により天からもたらされるもので地上の人間の都合で得られるものではない」という意味を持っているそうです。水は人間生活にとって欠かせません。山が高く水量豊富な川が流れる島ならともかく、山が低く面積が小さい島では生活用水を得るのが難しく、“離島苦”の一つになっています。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その132《雨水生活》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その131《俊寛僧都》渡辺幸重

硫黄島にある俊寛僧都像

平清盛一族が政権を担っていた平安時代末期の1177(治承元)年に平氏打倒を謀議したとして首謀者が処罰されました。これを「鹿ヶ谷(ししがだに)事件」または「鹿ヶ谷の陰謀」と言います。首謀者の俊寛、藤原成経(なりつね)、平康頼は「薩摩国鬼界ヶ島」に流されました。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その131《俊寛僧都》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その130《島育ち》渡辺幸重

波平暁男「島育ち」のSP盤レコード

島を歌った歌謡曲で私が鮮烈な印象を受けたのが都はるみの「アンコ椿は恋の花」(1964年10月)です。その前年の『第14回NHK紅白歌合戦』では奄美地方(鹿児島県)に関係する歌謡曲が4曲も歌われたことを最近になって知りました。その曲は「奄美恋しや」(仲宗根美樹)、「永良部百合の花」(朝丘雪路)、「島育ち」(田端義夫)、「島のブルース」(三沢あけみ)です。「佐渡の恋唄」(三波春夫)を加えると島の関係は50曲中の5曲を占めることになります。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その130《島育ち》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その129《自衛隊の島》渡辺幸重

馬毛島に建設される自衛隊基地と施設(「島じまスタンディング」資料より)

第二次世界大戦における“玉砕”の島・硫黄島(小笠原諸島)は旧島民の強い要望にも拘わらず戦後ずっと自衛隊のみが駐留する「自衛隊の島」になっています。全国ではほかにも民間人が住んでいない自衛隊のみ(一部米軍や気象台職員を含む)の島があります。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その129《自衛隊の島》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その128《ニシン》渡辺幸重

瓶子岩(北海道公式観光サイト) https://www.visit-hokkaido.jp/spot/detail_10314.html

「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれるニシンはかつて、春先に群れを成して北海道沿岸に押し寄せ、北海道に繁栄をもたらしました。日本海に面する渡島(おしま)半島南西部の江差は、江戸時代から明治時代にかけてニシン漁とその加工品の交易で栄え、その繁栄振りは「江差の五月(旧暦)は江戸にもない」と謳われるほどでした。その伝統と文化を伝える町並みや芸能、祭礼・年中行事などは2017(平成29)年度に日本遺産「江差の五月は江戸にもない─ニシンの繁栄が息づく町─」の構成文化財として認定を受けています。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その128《ニシン》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その127《ハワイ官約移民》渡辺幸重

周防大島の日本ハワイ移民資料館 https://suooshima-hawaii-imin.com/exhibition/

ハワイ諸島は1795年からハワイ王国として立憲君主制の独立国家を形成していましたが1893年にアメリカ移民を中心とした選挙でアメリカ合衆国の傀儡国家となり、1898年にはハワイ準州としてアメリカに併合されました。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その127《ハワイ官約移民》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その126《焼酎》渡辺幸重

 島にはそれぞれ特色のある“味”があり、そして“島酒”があります。「おいしい酒」というと、島に生まれ育った人間や島旅が好きな人はどうしても自分の故郷や贔屓の島の酒を第一に挙げることが多いようです。私の場合は屋久島の芋焼酎「三岳(みたけ)」ということになります。

伊豆諸島・青ヶ島の島酒は「あおちゅう(青酎)」です。酒造会社は1つでラベルも同じですが、各家庭に伝わる製法と味が10人ほどの杜氏に引き継がれ、それぞれが異なる味を持っているといわれます。サツマイモと麦麹を使ったものが主流で、流通量が少なく島外では購入が難しいため“幻の酒”と言われましたが、最近ではスーパーで目にすることもあります。私にとっては「トビウオのクサヤで一杯」が最高です。
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