連載コラム・日本の島できごと事典 その141《リュウキュウアユ》渡辺幸重

リュウキュウアユ(ホライズン「奄美大島の川」サイトより)

【LapizOnline】国立環境研究所の「侵入生物データベース」サイトでリュウキュウアユの分布図をみると、奄美地方が「自然分布」、沖縄島周辺が「外来分布」となっています。リュウキュウアユは元々奄美大島と沖縄島に自然分布していたはずなのにこの違いは何なのでしょうか。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その141《リュウキュウアユ》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その140《王直》渡辺幸重

平戸市の王直像(「日本掃苔録」サイトより)

【LapizOnline】王直(おうちょく:?―1559)は中国・明代の海商で後期倭寇の頭目です。民間の貿易を許さない明を逃れて日本の五島列島や平戸島(いずれも長崎県)を本拠地として中国人、ポルトガル人、南洋人らと密貿易を行いました。自らを徽王(きおう)や五峰大船主と称し、武装船団を率いて強大な勢力を誇りました。日本国内の有力者と海外勢力を結ぶ役割もしており、日本史を物語る上で重要な人物です。日本への鉄砲伝来にも関係しているとみられています。最後は国禁を侵したとして明朝に捕らえられ処刑されました。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その140《王直》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その139《屋久島憲法》渡辺幸重

屋久島の山岳

【LapizOnlin】私が小学生だった頃、担任の先生から「屋久島には屋久島憲法という立派なものがある」と聞き、内容がわからないままに誇り高い気持ちがしたものです。あとになって知ったのですが、それは日本国憲法と同じような憲法ではありませんでした。正式名称は「屋久島国有林経営の大綱」と言い、1921(大正10)年に農商務省鹿児島大林区によって発表された山林管理と利用に関する基本的な決まりでした。島の山林のほとんどを国有林にする一方で一部を地元で利用することを許すという内容ですが、その“屋久島憲法”ができるまでには入会山林(共有林)を強制的に国有林にした明治政府に対する地元の闘いがありました。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その139《屋久島憲法》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その138《漁業権紛争事件》渡辺幸重

久六島(灯台があるのは上の島:「青森県・白神山地の地質、岩石、化石、地形、自然」サイトより)

漁業権や水利権は生活や産業にとって大事なものだけに、その権利をめぐる争いは昔から激しいものがありました。特に資源が豊富な漁場の漁業権の場合は権利関係が複雑に絡み合い、紛争が長期化したようです。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その138《漁業権紛争事件》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その137《台風上陸》渡辺幸重

台風経路図

【LapizOnline】四国の西側に細く延びる佐田岬半島(愛媛県)を台風が襲ったことがありました。初めテレビは「四国に上陸」と言っていましたが、翌日には「佐多岬半島を通過」と言い換えていたので「アレッ」と思ったことがあります。また、私が生まれ育った島は台風銀座にあり、台風の目にすっぽり包まれたことがありました。吹き荒れていた大風がパタッと止み、静かな快晴の空になったあと風向きが変わってまた大風に戻りました。それが台風の目だったのです。私は「台風が島に上陸した」と思ったのですが、それは“上陸”ではありませんでした。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その137《台風上陸》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その136《補陀落渡海》渡辺幸重

補陀洛渡海の様子(那智駅交流センターのジオラマ)

【LapizOnline】補陀落(ふだらく)とは仏教で南方の海の彼方にあるとされる観世音菩薩が住む浄土のことで、行者(僧)が浄土への往生を果たし、民衆を浄土へ先導するために単身小舟に乗って沖に出る捨て身の行が「補陀落渡海」と呼ばれます。最古の事例は868(貞観10)年の慶龍上人、最後は1909(明治42)年の天俊上人の渡海で、主に平安時代から江戸時代中頃まで行なわれました。全国では約60例、そのうち和歌山県の那智勝浦からの渡海が半数の約30例を占めています。他には高知県の足摺岬、室戸岬、茨城県の那珂湊などから出帆した例があります。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その136《補陀落渡海》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典その135《離島甲子園》渡辺幸重

村田兆司さん(離島甲子園公式サイトより)

【LapizOnline】「甲子園」というと春と夏の全国高校野球大会を思い浮かべますが、「離島甲子園」と呼ばれるイベントが毎年開催されていることをご存知でしょうか。正式には「国土交通大臣杯全国離島交流中学生野球大会」といい、全国の島から中学生の軟式野球チームが参加してトーナメント方式で試合を行うもので、島の若者が交流し、人材育成や地域振興につながっています。離島甲子園は“まさかり投法”で有名な元プロ野球選手の村田兆司さん(1949-2022)の提唱で始まり、村田さんがライフワークとしたことでも知られています。 “連載コラム・日本の島できごと事典その135《離島甲子園》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典その134《遺骨返還訴訟》渡辺幸重

百按司墓(今帰仁村「百按司墓木棺修理報告書」より)

【LapizOnline】第二次世界大戦前の日本で旧帝国大学の人類学者が研究のためと称して北海道・樺太のアイヌ人や奄美・沖縄の墓から人骨を大量に持ち出しました。戦後、返還を求める運動が起きており、アイヌ人の遺骨の一部などが返還されていますが、多くの遺骨が未返還のままです。沖縄では琉球国王家の子孫にあたる沖縄県民ら5人が遺骨の返還を求めた訴訟(琉球民族遺骨返還等請求事件)を起こしました。 “連載コラム・日本の島できごと事典その134《遺骨返還訴訟》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典その133《ヤマネコ》渡辺幸重

ツシマヤマネコ(「対馬野生生物保護センター」サイトより)

日本に生息する野性のヤマネコには、長崎県・対馬(つしま)に棲むツシマヤマネコと沖縄県・西表島(いりおもてじま)に棲むイリオモテヤマネコの2種類があります。どちらもベンガルヤマネコの亜種とされており、ツシマヤマネコは国の天然記念物と国内希少野生動植物種に、イリオモテヤマネコは国の特別天然記念物と国際保護動物に指定されています。 “連載コラム・日本の島できごと事典その133《ヤマネコ》渡辺幸重” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その132《雨水生活》渡辺幸重

五木の子守唄に「水は天からもらい水」という文句があります。「水は天の都合により天からもたらされるもので地上の人間の都合で得られるものではない」という意味を持っているそうです。水は人間生活にとって欠かせません。山が高く水量豊富な川が流れる島ならともかく、山が低く面積が小さい島では生活用水を得るのが難しく、“離島苦”の一つになっています。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その132《雨水生活》渡辺幸重” の続きを読む