びえんと《押し付けを否定した内閣憲法調査会》Lapiz編集長 井上脩身

本日6/16のLapiz2023夏号Vol.46
矢部貞治・内閣憲法調査会副会長

びえんと《押し付けを否定した内閣憲法調査会》Lapiz編集長 井上脩身

 

 

 

 

 

――改憲にカジを切らなかったナゾに迫る――
日本の憲法について自民党は「アメリカに押し付けられた」として憲法改変を党是としてきた。保守合同で結党された翌年の1956年、「我が国の主体的憲法に変える」ために安倍晋三元首相の祖父・岸信介首相(当時)らによって、「内閣憲法調査会」が設置された。MORE

現代時評《低次元の少子化対策》井上脩身

イメージ・火星人

「異次元の人物がいるとしたら誰か」と尋ねられたら、ほとんどの人は大谷翔平をあげるだろう。子育て中の人に「異次元の子育てをしてください」と求めたら、どうするだろうか。大谷のような天才になってくれれば、とゼロ歳のときからバットとボールを持たせたとしても、異次元育児とはいえまい。赤ちゃんを多く産むための異次元の方法は、ときかれたらどうだろう。ほとんどの人は首をひねるにちがいない。当然だ。火星人にでもならないかぎり、次元の異なる「産めよ増やせよ」法などあろうはずがない。ところが岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を国政の柱に据えているのである。 “現代時評《低次元の少子化対策》井上脩身” の続きを読む

現代時評《袴田事件と大江文学》井上脩身

3月14日付新聞の一面に、袴田事件の再審を認める決定が出されたことと、ノーベル賞作家、大江健三郎さんが死去したことを伝える記事が載った。私は袴田事件の現場と大江さんの生家付近をたずねたことがあるだけに、偶然とはいえ不思議な感慨にひたった。私が知る範囲では、大江さんが袴田事件について語ったことはない。だが袴田事件の本質は、捜査機関において大江さんが言う「戦後民主主義」の無理解もしくは否定にあった、と私は考える。 “現代時評《袴田事件と大江文学》井上脩身” の続きを読む

現代時評《軍事費増強による戦争誘発の恐怖》井上脩身

政府は12月16日、「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を改定、閣議決定した。このなかで、相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記し、2027年度に防衛費をGDP比2%に増額する方針を掲げた。これによって同年度までの5年間で防衛費が43兆円と現行の1・57倍に膨れ上がり、法人税、たばこ税、復興特別所得税を増税する。敵基地攻撃能力はその文言から明らかなように仮想敵国を想定し、相手国基地をミサイルで襲撃しようというもので、専守防衛の範囲を逸脱した明白に憲法に反する軍事行動である。わが国は、平和憲法の精神をかなぐり捨て、軍拡競争に突入することになった。 “現代時評《軍事費増強による戦争誘発の恐怖》井上脩身” の続きを読む

◆現代時評《旧統一教会のマインドコントロール》井上脩身

永岡桂子文部科学相は22日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して質問権を行使した。旧統一教会に対する解散命令を裁判所に請求できるかどうかの調査として行われたもので、これに先立ち、岸田文雄首相は被害者救済に向けての新たな法案を今国会に提出する方針を表明した。こうした中で浮上したのが、宗教団体が行うマインドコントロールがどこまで許されるか、である。信仰は言うまでもなく個々人の心問題だ。憲法が保障する信仰の自由とは何なのか。1946年11月に公布されて以来初めてといえる憲法上の難問である。 “◆現代時評《旧統一教会のマインドコントロール》井上脩身” の続きを読む

現代時評《満州国建国と重なるウクライナ4州併合》井上脩身

 ロシアのプーチン大統領は9月30日、ウクライナの東部・南部の4州をロシア領に編入すると宣言した。強奪というほかないロシアによるウクライナ領土の併合に対し、ウクライナは反転攻勢を展開しロシア軍を猛攻、ウクライナ戦争は新た局面に入った。岸田首相は10月3日の所信表明演説で「力による一方的な現状変更は許されない」と非難したが、90年前の1932年、軍事占領した中国東北部の満州に傀儡国家である満州国を成立させたのはわが国である。ウクライナ4州併合を満州国建国と重ね合わせると、ウクライナ戦争の今後をうらなう、あるキーワードがうかびあがる。「Iの国」である。 “現代時評《満州国建国と重なるウクライナ4州併合》井上脩身” の続きを読む

近刊情報《片山通夫写真集ONCE UPON A TIME 002》井上脩身

片山作品に見る冷戦下のフォトジャーナリズム 002

陽気さの奥の翳を捉えるカメラアイ

キューバの近現代の歴史を概観しておこう。
スペインの支配下にあったキューバが1902年に独立した後、製糖産業などにアメリカ資本が多数進出。1952年、バティスタがクーデターで政権を奪取すると、アメリカのキューバ支配がいっそう進んだ。バティスタ独裁政治に反旗を掲げたカストロは、メキシコに亡命中にゲバラに出会って後の1956年にキューバに上陸、2年余りのゲリラ闘争のすえ、1959年1月、バティスタを国外に追放、革命政権を樹立した。 “近刊情報《片山通夫写真集ONCE UPON A TIME 002》井上脩身” の続きを読む