現代時評《低次元の少子化対策》井上脩身

イメージ・火星人

「異次元の人物がいるとしたら誰か」と尋ねられたら、ほとんどの人は大谷翔平をあげるだろう。子育て中の人に「異次元の子育てをしてください」と求めたら、どうするだろうか。大谷のような天才になってくれれば、とゼロ歳のときからバットとボールを持たせたとしても、異次元育児とはいえまい。赤ちゃんを多く産むための異次元の方法は、ときかれたらどうだろう。ほとんどの人は首をひねるにちがいない。当然だ。火星人にでもならないかぎり、次元の異なる「産めよ増やせよ」法などあろうはずがない。ところが岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を国政の柱に据えているのである。 “現代時評《低次元の少子化対策》井上脩身” の続きを読む

現代時評《崩壊した日本 「Jアラートと敵基地先制攻撃」》山梨良平

先日朝からNHKは「Jアラート」をがなり立てていた。北海道付近に北朝鮮から発射されたミサイルが落下する危険を国民に告げていた。テレビの画面は「真っ赤だった」。漁船など船舶は何処へ逃げればいいのか?だが明確な指示はなかったように思える。新幹線を含む鉄道は運航を停止した。当然駅には人があふれた。万一そこにミサイルが落ちれば被害は甚大だ。列車は走らせて被害を分散する方がいいのに。列車への対応はニュースになったけれど、北海道電力の泊原発はどうしたのだろう? この件のニュースは見当たらなかった。山口壮原子力防災相は昨年5月13日の閣議後会見で、原発への武力攻撃に対する防衛について「ミサイルが飛んできてそれを防げる原発はない。世界に1基もない」と明言したことを付け加えておく。 “現代時評《崩壊した日本 「Jアラートと敵基地先制攻撃」》山梨良平” の続きを読む

現代時評《北風と太陽》片山通夫

ベラルーシにロシア戦術核配備とNOTO加盟のフィンランド

参考図 イソップ物語「北風と太陽」

この二つのニュースに接してイソップの「北風と太陽」を思い出した。「北風と太陽が、旅人の上着を脱がす勝負をする。 北風が強く吹けば吹くほど、旅人は上着を飛ばされまいと必死になる。次に太陽が照らすと、旅人は自ら上着を脱ぎだす」という有名な話だ。

ロシアのプーチン大統領は、同盟関係にある隣国・ベラルーシに戦術核兵器を配備することで合意したと明らかにした。ルカシェンコ大統領の要請を受けた形だとか。これが3月26日だったと記憶する。一方ロシアと1340キロメートルもの国境線を持つフィンランドは従来の中立政策を大幅に変更してNATOに加盟申請し4月4日に加盟を果たし31番目の加盟国となった。
まさにイソップの寓話そのものだと言える。 “現代時評《北風と太陽》片山通夫” の続きを読む

現代時評《袴田事件と大江文学》井上脩身

3月14日付新聞の一面に、袴田事件の再審を認める決定が出されたことと、ノーベル賞作家、大江健三郎さんが死去したことを伝える記事が載った。私は袴田事件の現場と大江さんの生家付近をたずねたことがあるだけに、偶然とはいえ不思議な感慨にひたった。私が知る範囲では、大江さんが袴田事件について語ったことはない。だが袴田事件の本質は、捜査機関において大江さんが言う「戦後民主主義」の無理解もしくは否定にあった、と私は考える。 “現代時評《袴田事件と大江文学》井上脩身” の続きを読む

現代時評《プーチン追い落としはあるのか》片山通夫 (文中敬称略)

最近のロシアにまつわる国際ニュースを読んでいて、明らかに流れが変わってきたような報道に接することが多くなってきた。プーチンを排斥するクーデターなど、プーチン後のロシアのありようへの言及だ。世論は心情的にウクライナに味方して、ロシアの指導者であるプーチンを排斥すればことは治まるという単純で希望的な見方をしているようにも見える。果たしてその見方は正しいのか今のところはなんとも言えないと筆者は考える。たとえば仮に世間でニュースになっているワグネルの創設者・ エフゲニー・プリゴジンがプーチン追い落としの先鋒になりそうだとか、いやロシア正規軍、はたまたチェチェンの某がクーデターを・・・と枚挙にいとまがない。 “現代時評《プーチン追い落としはあるのか》片山通夫 (文中敬称略)” の続きを読む

現代時評《煽る日米、怒る北朝鮮》山梨良平

金日成広場にて

北朝鮮の朝鮮中央通信は2月20日、西部に展開する朝鮮人民軍部隊が軍事デモンストレーションとして、口径600ミリの超大型放射砲(多連装ロケット砲)2発を発射したと報じた。我が国は当然のことながら北朝鮮に対して「北京の大使館を通じて厳重に抗議した。」 と発表した。
時事通信は、《北朝鮮が短距離弾道ミサイル2発 与正氏「太平洋」への発射警告―国連安保理、21日緊急会合》と続いて報じた。

つまり2日続けて大陸弾道弾と多連装ロケット砲を発射したというわけである。北朝鮮の真意はわからないが《「前例のない 強力な対応に直面する」北朝鮮が警告 来月予定の米韓合同軍事演習 」》と反発していた。一方の韓米両軍は、来月中旬に合同軍事演習「フリーダムシールド」を11日間にわたり行う予定で、今回は5年ぶりに大規模な野外機動訓練を再開する予定だという。この演習は北朝鮮の目と鼻の先で行われるらしい。 “現代時評《煽る日米、怒る北朝鮮》山梨良平” の続きを読む

現代時評《飢餓で日本が死ぬ!》片山通夫

ウクライナがロシアに攻め込まれて一年。戦争は一向に治まる気配はない。また我が国は中国や北朝鮮から見れば完全に米国支配下に置かれている敵性国扱い。「台湾有事」に沖縄が危ないとばかりに「敵基地先制攻撃」を可能にして防衛力の増強に岸田内閣は踏み切った。
筆者に言わせれば「なんとまあ、極楽とんぼ!」と言わざるを得ない。ロシアでは物価は上がり市民生活を圧迫しているだろう。しかしロシアは世界有数の産油国であり、また有数の農業国でもある。

2019年2月の農林水産政策研究所 上席主任研究官 長友謙治氏の報告によるとロシアの食料事情は次の通り。
【穀物の大生産国ロシア】
・麦類の生産量は世界有数。小麦:85百万トン(世界4位)、大麦:20百万トン(世界2位)
・トウモロコシの生産量が増えているが(13百万トン)、麦類ほど多くない。
ロシアでは栽培適地が限られている。(降水量が少なく、暖かい期間が短い)

一方の我が国は「先進国で自給率最低で食料安保を脆弱になってしまった。。
驚くなかれ、世界最大の食料輸入国であり、カロリーベースの自給率がたった38%である。
2月6日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の野間健議員は岸田首相の施政方針演説について、次のように指摘した。
「岸田総理が施政方針演説で農業に言及した箇所は、1万1,494字のうち121文字しかなく、過去20年間の施政方針演説で最も少ない。・・・カロリーベースの食料自給率がたったの38%にすぎず、食べ物はおろか種や肥料、牛や豚の飼料さえも他国からの輸入に依存するこの国で、アベノミクスの末路ともいえる円安が進み、高値で爆買いする中国に買い負けている」

参考: https://www.youtube.com/watch?v=Gi_pIMVtoAA

想像力が欠如しているとしか思えないのが、岸田政権がとろうとしている「防衛力の強化策」だ。国民生活の安定・安寧をさておいて、防衛力に莫大な予算を組もうとしている。
食料が不足するとどうなるか?戦前の状態を見れば明白である。ところが「戦後も終わった」と政治家が豪語する割にはこと食料生産においてはいかがなものだろう。
先のオリンピックで完成したスタジアムは現在のところ利用者はいないか極端に少なく、当初の思惑とはかけ離れているとか。グランドを畑にでもするつもりなのかもしれない。参考のため戦前の国会議事堂前の写真(左)を貼っておく。

そういえば、昨今異常気象が世界を襲っている。おまけにロシアとウクライナの戦争、世界有数の穀物輸出国である両国の戦争は食料の国際価格の高騰・不足を招いている。近い将来、我が国でも食料自給問題に跳ね返ってくる危険性が大きい。

また台風やそれに伴う水害などはすでに毎年起こっている。「命を守る対策」とテレビをはじめとする報道機関は叫ぶが根本的な解決はなかなか示してくれない。
実際に別の意味でも「命を守る対策」を考えなければならないのではないか。 “現代時評《飢餓で日本が死ぬ!》片山通夫” の続きを読む

現代時評《超法規の国、ロシア》山梨良平

ウクライナにロシアが侵攻してはや一年が経とうとしている。この一年、男をあげたのがウクライナのゼレンスキー大統領、反対に男を下げたのがロシアのプーチン大統領だ。
プーチン大統領の考えや行動には、怒りとともに呆れるが、中でも筆者が「これは!?」と思うのが傭兵組織ワグネルの起用である。ワグネルの創始者は周知のように、元はプーチン大統領の料理人だったとか。いわば一番プーチン大統領に近い立場だったのだろう。敵の多い大統領にとっては料理人は一番信頼できる人間でなければ採用しないだろう。

そのワグネルがこともあろうに刑務所で兵士募集を始めた。もちろんプーチン大統領のも黙認もしくは許可のもとにだろう。漏れ聞こえてくる話では、半年間戦争に参加すれば背負っている罪を帳消しにして給与まで払うということらしい。ということは凶悪犯も半年後には無罪放免で野放しになるということである。市民にすればとんでもない事だと思われる。

いや、市民はもちろんだろうが、ロシア国防省の面々、つまり正規軍の立場から言えば面目丸つぶれということ以外に考えられない。警察と国防軍とは様々な面で繋がっているはずだ。事件が起きて必死で捜査して犯人を逮捕し、裁判にかけ、刑務所に収容した囚人を如何に私兵と言えども、いや相手が私兵だからこそ開放を黙認できるはずがないと思う。

ところが先日突然刑務所での徴兵をやめると発表した。何処からかクレームがきたのか、ワグネルの傭兵資金が枯渇してきたのか、正規軍からクレームが届いたのか、プーチンが正規軍のクーデターを恐れたのか、理由はわからない。筆者が考えるに、おそらくこれらすべての理由からだと思う。規律を重んじるはずの軍隊が超法規のワグネルをいつまでも野放しにしているプーチン大統領に苦言を呈したのかもしれない。それにしてもワグネルの資金は何処から出てるのだろう?

影の声が聞こえてきた。安倍政権時代の我が国もあまり変わらん?
河井夫妻事件!

現代時評《起こるか?クーデター》片山通夫

もちろん私の単なる推論でしかない話だが、昨秋から今に至るまで、ロシアの状況はあまり芳しくないようだ。当初、つまりほぼ一年前に満を持してウクライナに攻め込んだのはいいが、ウクライナ国境付近に車列64キロが衛星写真で撮影された。無論この車列はロシア軍のものだ。つまり何らかの理由で前に進めなくなったわけだ。通常の考えでは燃料の補給や車両の不備が原因なのかもしれないと思う。プーチン氏は「キエフ(今はキーフ)を1週間で陥落させる」予定だったようだ。その64キロメートルの車列は混迷する戦況の予兆だった。 “現代時評《起こるか?クーデター》片山通夫” の続きを読む

現代時評《河野洋平氏の良識》片山通夫

「70数年前に日本は決心したじゃないかと。尊い命を犠牲にして、我々今ここに繁栄を得ているのです。決して忘れません、決してあの過ちは繰り返しません。何十年も言い続けて、その結果がこの政策転換というのは、私はあり得ないと、そう思っているのです」「安倍政治というものに非常に大きな問題があったと思います」
元衆議院議長・河野洋平氏はTBSの「報道特集」という番組でこう語った。 “現代時評《河野洋平氏の良識》片山通夫” の続きを読む