現代時評《飢餓で日本が死ぬ!》片山通夫

ウクライナがロシアに攻め込まれて一年。戦争は一向に治まる気配はない。また我が国は中国や北朝鮮から見れば完全に米国支配下に置かれている敵性国扱い。「台湾有事」に沖縄が危ないとばかりに「敵基地先制攻撃」を可能にして防衛力の増強に岸田内閣は踏み切った。
筆者に言わせれば「なんとまあ、極楽とんぼ!」と言わざるを得ない。ロシアでは物価は上がり市民生活を圧迫しているだろう。しかしロシアは世界有数の産油国であり、また有数の農業国でもある。

2019年2月の農林水産政策研究所 上席主任研究官 長友謙治氏の報告によるとロシアの食料事情は次の通り。
【穀物の大生産国ロシア】
・麦類の生産量は世界有数。小麦:85百万トン(世界4位)、大麦:20百万トン(世界2位)
・トウモロコシの生産量が増えているが(13百万トン)、麦類ほど多くない。
ロシアでは栽培適地が限られている。(降水量が少なく、暖かい期間が短い)

一方の我が国は「先進国で自給率最低で食料安保を脆弱になってしまった。。
驚くなかれ、世界最大の食料輸入国であり、カロリーベースの自給率がたった38%である。
2月6日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の野間健議員は岸田首相の施政方針演説について、次のように指摘した。
「岸田総理が施政方針演説で農業に言及した箇所は、1万1,494字のうち121文字しかなく、過去20年間の施政方針演説で最も少ない。・・・カロリーベースの食料自給率がたったの38%にすぎず、食べ物はおろか種や肥料、牛や豚の飼料さえも他国からの輸入に依存するこの国で、アベノミクスの末路ともいえる円安が進み、高値で爆買いする中国に買い負けている」

参考: https://www.youtube.com/watch?v=Gi_pIMVtoAA

想像力が欠如しているとしか思えないのが、岸田政権がとろうとしている「防衛力の強化策」だ。国民生活の安定・安寧をさておいて、防衛力に莫大な予算を組もうとしている。
食料が不足するとどうなるか?戦前の状態を見れば明白である。ところが「戦後も終わった」と政治家が豪語する割にはこと食料生産においてはいかがなものだろう。
先のオリンピックで完成したスタジアムは現在のところ利用者はいないか極端に少なく、当初の思惑とはかけ離れているとか。グランドを畑にでもするつもりなのかもしれない。参考のため戦前の国会議事堂前の写真(左)を貼っておく。

そういえば、昨今異常気象が世界を襲っている。おまけにロシアとウクライナの戦争、世界有数の穀物輸出国である両国の戦争は食料の国際価格の高騰・不足を招いている。近い将来、我が国でも食料自給問題に跳ね返ってくる危険性が大きい。

また台風やそれに伴う水害などはすでに毎年起こっている。「命を守る対策」とテレビをはじめとする報道機関は叫ぶが根本的な解決はなかなか示してくれない。
実際に別の意味でも「命を守る対策」を考えなければならないのではないか。 “現代時評《飢餓で日本が死ぬ!》片山通夫” の続きを読む

現代時評《超法規の国、ロシア》山梨良平

ウクライナにロシアが侵攻してはや一年が経とうとしている。この一年、男をあげたのがウクライナのゼレンスキー大統領、反対に男を下げたのがロシアのプーチン大統領だ。
プーチン大統領の考えや行動には、怒りとともに呆れるが、中でも筆者が「これは!?」と思うのが傭兵組織ワグネルの起用である。ワグネルの創始者は周知のように、元はプーチン大統領の料理人だったとか。いわば一番プーチン大統領に近い立場だったのだろう。敵の多い大統領にとっては料理人は一番信頼できる人間でなければ採用しないだろう。

そのワグネルがこともあろうに刑務所で兵士募集を始めた。もちろんプーチン大統領のも黙認もしくは許可のもとにだろう。漏れ聞こえてくる話では、半年間戦争に参加すれば背負っている罪を帳消しにして給与まで払うということらしい。ということは凶悪犯も半年後には無罪放免で野放しになるということである。市民にすればとんでもない事だと思われる。

いや、市民はもちろんだろうが、ロシア国防省の面々、つまり正規軍の立場から言えば面目丸つぶれということ以外に考えられない。警察と国防軍とは様々な面で繋がっているはずだ。事件が起きて必死で捜査して犯人を逮捕し、裁判にかけ、刑務所に収容した囚人を如何に私兵と言えども、いや相手が私兵だからこそ開放を黙認できるはずがないと思う。

ところが先日突然刑務所での徴兵をやめると発表した。何処からかクレームがきたのか、ワグネルの傭兵資金が枯渇してきたのか、正規軍からクレームが届いたのか、プーチンが正規軍のクーデターを恐れたのか、理由はわからない。筆者が考えるに、おそらくこれらすべての理由からだと思う。規律を重んじるはずの軍隊が超法規のワグネルをいつまでも野放しにしているプーチン大統領に苦言を呈したのかもしれない。それにしてもワグネルの資金は何処から出てるのだろう?

影の声が聞こえてきた。安倍政権時代の我が国もあまり変わらん?
河井夫妻事件!

現代時評《起こるか?クーデター》片山通夫

もちろん私の単なる推論でしかない話だが、昨秋から今に至るまで、ロシアの状況はあまり芳しくないようだ。当初、つまりほぼ一年前に満を持してウクライナに攻め込んだのはいいが、ウクライナ国境付近に車列64キロが衛星写真で撮影された。無論この車列はロシア軍のものだ。つまり何らかの理由で前に進めなくなったわけだ。通常の考えでは燃料の補給や車両の不備が原因なのかもしれないと思う。プーチン氏は「キエフ(今はキーフ)を1週間で陥落させる」予定だったようだ。その64キロメートルの車列は混迷する戦況の予兆だった。 “現代時評《起こるか?クーデター》片山通夫” の続きを読む

現代時評《河野洋平氏の良識》片山通夫

「70数年前に日本は決心したじゃないかと。尊い命を犠牲にして、我々今ここに繁栄を得ているのです。決して忘れません、決してあの過ちは繰り返しません。何十年も言い続けて、その結果がこの政策転換というのは、私はあり得ないと、そう思っているのです」「安倍政治というものに非常に大きな問題があったと思います」
元衆議院議長・河野洋平氏はTBSの「報道特集」という番組でこう語った。 “現代時評《河野洋平氏の良識》片山通夫” の続きを読む

現代時評《ロシアとNATOの戦い》山梨良平

昨年2月24日にプーチンのロシアがウクライナに攻め込んだ。なぜなのか、本当のところはプーチンの心のそこにあるからわからない。プーチンが声にして説明してもそれが事実かどうかは誰にもわからないし、わかったところでそれが真実であるかどうかも不明だ。またこの10か月程の間に様々な理由を述べている。それは戦況によってどんどん変わってきたし、今後も変わるだろう。 “現代時評《ロシアとNATOの戦い》山梨良平” の続きを読む

◆現代時評《自浄システムを失った自民党》片山通夫

新年明けましたおめでとうございます。本年も現代時評をよろしくお願いいたします。
昨年末に、杉田水脈総務政務官が更迭された。彼女に日頃の言動に政権の維持がむずかしくなってきたようだ。一つは2018年の月刊誌「新潮45」への寄稿文の中でつづった、LGBTQなどの性的少数者に対する「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり生産性がない」と書いた件だ。もう一つは、「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」とした、16年の国連女性差別撤廃委員会に出席した際の自身のブログでの発言だ。(毎日新聞 2022/12/27電子版) “◆現代時評《自浄システムを失った自民党》片山通夫” の続きを読む

現代時評plus《いつか来た道》片山通夫

まず最初に、あるSNSで日本と中国のあらゆる面での国力を比較されているのを見た。すべてが事実なのかどうかは確認していないがおおよそその通りだろうとうなずけるので、転用させていただく。

●中国の国防予算:27兆円
日本の国防予算:5兆円

●中国人民解放軍人数:243万人
中国人民解放軍予備役:100万人
日本の自衛官数   :24,7万人
自衛隊の予備自衛官 :5万人

●中国の核保有
現在200~3000と推定
(色々な研究所で大きく数字は異なる)
2027年には700発(米国防省推定)
2030年には1000発(米国防省推定
日本 ゼロのはず(除く米軍)

●中国の人口:14億人
日本の人口 :1.2億人

●中国の国土面積 :9.597.000K㎡
日本の国土面積 :  377.900K㎡

●日本の中国との貿易比率:24%
中国の日本との貿易比率 :7%

●中国のGDP   :19.911.593US$
日本のGDP   : 4.912.147US$
(参考:米国のGDP:25.346.805US$)

●中国の食料自給率 :73%
日本の食料自給率 :37%
(注:飼料・肥料が輸入されない場合もっと低くなります)

●中国のエネルギー自給率 :80%以上
日本のエネルギー自給率 :11.2% “現代時評plus《いつか来た道》片山通夫” の続きを読む

現代時評《軍事費増強による戦争誘発の恐怖》井上脩身

政府は12月16日、「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を改定、閣議決定した。このなかで、相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記し、2027年度に防衛費をGDP比2%に増額する方針を掲げた。これによって同年度までの5年間で防衛費が43兆円と現行の1・57倍に膨れ上がり、法人税、たばこ税、復興特別所得税を増税する。敵基地攻撃能力はその文言から明らかなように仮想敵国を想定し、相手国基地をミサイルで襲撃しようというもので、専守防衛の範囲を逸脱した明白に憲法に反する軍事行動である。わが国は、平和憲法の精神をかなぐり捨て、軍拡競争に突入することになった。 “現代時評《軍事費増強による戦争誘発の恐怖》井上脩身” の続きを読む

現代時評plus《先制敵基地攻撃とロシア #2》山梨良平

そんな折に日本の岸田首相は「閣議決定」という無謀な手で、敵基地攻撃能力を持つことにし、「防衛力」という「戦力」に「先制攻撃」を付け加えた。敵基地攻撃能力とは、弾道ミサイルの発射基地など敵国の基地や拠点などを攻撃する装備能力。 反撃能力ともいう。戦後の平和主義から一変した政策である。 “現代時評plus《先制敵基地攻撃とロシア #2》山梨良平” の続きを読む

現代時評plus《先制敵基地攻撃とロシア #1》山梨良平

一般に我が国の仮想敵国は中国や北朝鮮と言われている。過去に帝政ロシアは我が国と戦ったことがある。19054年から1905年のことだった。いわゆる日露戦争である。幸いにして我が国の勝利に終わったことは周知の通りだ。 “現代時評plus《先制敵基地攻撃とロシア #1》山梨良平” の続きを読む