もうわかった?「混沌の世界」

【609studio】イザナミとイザナギの男女の神は混沌とした中に放り出された。
そしてわけもわからないうちに、貰った「アメノヌボコ」を、それこそ混沌としっぱなしの「混沌」に差し込み、混沌を固めた。アメノヌボコとは「天之瓊矛」と日本書紀での呼び方で、古事記では「天沼矛」と表記されている。 矛(ホコ)は、長い柄の先に両刃の剣を付けた武器を指す。 “fiction《アマテラスの誤算003》片山通夫 ” の続きを読む
片山通夫公式サイト photo:宍道湖のほとり
もうわかった?「混沌の世界」
【609studio】イザナミとイザナギの男女の神は混沌とした中に放り出された。
そしてわけもわからないうちに、貰った「アメノヌボコ」を、それこそ混沌としっぱなしの「混沌」に差し込み、混沌を固めた。アメノヌボコとは「天之瓊矛」と日本書紀での呼び方で、古事記では「天沼矛」と表記されている。 矛(ホコ)は、長い柄の先に両刃の剣を付けた武器を指す。 “fiction《アマテラスの誤算003》片山通夫 ” の続きを読む
神でさえひとりで生きていた時代
【609studio】この世がまだまだ混沌としていた頃、まだまだはっきりとしない、言ってみればボヨヨーンと神も仏もいるかいないかわからなかった時代の話から始まる物語があった。
「何とかせにゃ」、「わかっとるがな」
神様は上も下も右も左もわからないままに何とか考えをまとめようとしていた。言ってみればやけくその結果、混沌の神様が「誰か下におろして堅めさせよう」と決断した。
「ひとりじゃ誰も行ってくれんじゃろう」
「男と女の対ではどうじゃ?」
「ワシらも一人神じゃて対の神なんてぜーたくじゃ」
しかしこの混沌を何とかせなーならんと言う結論は出ていたので、そこにいた神様みんなで「そーじゃ、そうじゃ」と言った囃子て無責任極まりない決め方で決まった。
不定期・続く
ロシアのウクライナ侵攻から始まってイスラエルのガザ攻撃、中国の台湾包囲と脅迫、中国の南シナ海での行動等々。おまけに、この20日に就任するトランプ次期大統領の言動とその言動に同調する人々の群れ。おまけにトランプはカナダやパナマ運河に食指を動かし、グリーンランドを買いたいと言いだした。 “現代時評《最近なんとなく殺伐と・・・》片山通夫” の続きを読む
三瓶山のこと
【609studio】この夏は甲子園で日本全国のファンを沸かした。特に京都国際高校が優勝したこと、今一つは島根県立大社高校が、ひたむきないい試合を見せてくれたこと。新聞報道によると大社の町は湧きに沸いたと言う。高校野球の話はさておき本題に入る。
貧乏性のボクはやはりカメラをポケットにウロウロしている。サハリンへは「ロシアがウクライナに侵攻」してから行けなくなった。その代わりに昔から気になっていた丹波の国に通っている。具体的に言うと出雲(島根県)、福知山(京都府)、丹波篠山(兵庫県)の辺りだ。 “fiction《アマテラスの誤算001》片山通夫” の続きを読む
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【609 Studio】email newsletter 2024年12月31日 #1188
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世界の話題、LAPIZ編集長・井上脩身氏のコラムなど多彩な話題満載!
なおLapizOnlineは609studioと統合いたしました。
また諸般の事情によりサハリンの話題は都合により当面休止いたします。
購読無料!
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◆●◆ ご挨拶 ◆●◆
本年もありがとうございました。
来る新しい年もよろしく御願い申し上げます。
皆様のご多幸をお祈りいたします。
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◆現代時評plus《カメラが欲しい》片山通夫
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今夜は大晦日。突然だがNikonSPと言うカメラが欲しい。Nikon SPは、1957年
(昭和32年)に発売されたNikonSシリーズの最高峰モデル。SシリーズはNikonの
レンジファインダーのカメラのシリーズだ。
無論35mmフィルムカメラ。
世は諸物価高のなか、今時「フィルムカメラ」なんて不謹慎にも程があるとあち
こちから聞こえてくるようだ。簡単に言うと36枚撮りのフィルムを買って撮って
現像しプリントするには大枚をはたかなければならない。ちなみに、いまだにフ
ィルムカメラに拘って、デジタルカメラを持っていない友人に聞くと一万円仕事
だと・・・。つまり彼は最近写真を撮っていない。スマートフォンに定番で付い
ているカメラもおそらく使い方も知らないだろう。
だいぶ以前になるが、ある知り合いの方の話だが、LeicaM3というカメラをお持
ちだった。深夜、家人が寝静まった頃(ここが大事!)、件のカメラをおもむろ
に取り出し、好きなブランデーを傾けながら、シャッターを切る。深夜の静寂の
中で、そのシャッター音に耳を澄まして聞くのが至高の楽しみだと話されていた。
その時は「へえー、そんなものか」と思っただけだが、最近とてもよくわかる気
がしてきた。
カメラは簡単に言うと写真を撮るための道具であり、単に機械だ。しかし単なる
道具ではないような気がする。形や写り具合、それに機械的に丈夫か、故障は?
と色々考えて選ぶ。そうすれば愛着も湧くというものだ。ブランデー(ボクの場
合はウイスキーだ)を傾けながら深夜に好きなカメラに向き合う様はいささか妖
しいと我ながら思う。
それでも「カメラが欲しい。「NikonSP」復刻版でいいから・・・。
・・・と無性に思う晦日の今日この頃…。そういえば明日は新しい年だ。お年玉
に誰か・・・。まあ無理だろうな。初夢は夢と消えるのみ・・・・。
皆様。よいお年をお迎えください。そして本年はありがとうございまhした。
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【出版案内】
新版 日本の島事典 単行本 2022/12/2
長嶋俊介 (著), 渡辺幸重 (著)
27年ぶりの改訂新版。収録島数、国内最多!日本の全容を総合知で集約した歴史
的大著?国土地理院地図情報をベースに有人島、人工島、無人島など約15,000島に加え、岩礁なども丹念に調べ上げ、島の現在を特定。
国境水域における国際関係が複雑化するなか、島国である日本の成り立ちと現状
を知ることのできる比類なき事典。 https://x.gd/i2TJY
出版社 三交社 (2022/12/2)
単行本 1600ページ
ISBN-10 4815540551
ISBN-13 978-4815540555
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◆朝鮮半島から(順不同)
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*北朝鮮「暴風軍団」、ドローンに苦戦の精鋭部隊 「撃墜方法」メモも
https://www.asahi.com/articles/ASSDX2CXMSDXUHBI01VM.html?iref=pc_extlink
*韓国の保守論客「尹錫悦弾劾事由は朴槿恵の1万倍…世の中をなめているの
か」 https://japan.hani.co.kr/arti/politics/52041.html
*「弾劾案可決号外セット」が1万ウォン…戒厳関連グッズ、韓国の中古市場で
活況 https://x.gd/Sb5IR
*181人中2人だけが救助…務安空港のチェジュ航空機大惨事=韓国
https://japanese.joins.com/JArticle/327973
*「尹大統領の愚かなクーデター…金正恩に完ぺきな贈り物」元欧州議会議員が
指摘
https://japanese.joins.com/JArticle/327505?servcode=500§code=510
*韓国統一部「北、対南機構をすべて廃止したと推定」
https://japanese.joins.com/JArticle/327818?servcode=500§code=510
*南西部の務安空港で旅客機墜落 28人死亡
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=89107
*「返品天国」韓国
1970年代、安月給だった韓国の外交官たちは、夫婦同伴のパーティーに着ていく
タキシードやドレスを買う金がなかった。苦肉の策として用いられた小細工が、
百貨店で服を購入し、パーティー当日に一日着用した後、翌日に返品することだ
った。筆者にこの話を聞かせてくれた主要国大使の妻は「値札を隠すのに冷や汗
をかき、服を汚さないように努力した」と苦笑いした。
https://x.gd/nuqBX
*韓国、史上初の代行の代行体制…大統領・代行連続弾劾
https://japanese.joins.com/JArticle/327952
*尹大統領「銃や斧で国会の扉を壊せ…4人1組で議員1人ずつ背負って出てこ
い」 https://japan.hani.co.kr/arti/politics/52033.html
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【出版案内】
「光太 虹の国に行く」 いのしゅうじ(本名・井上脩身) 著
中学1年生の光太が同級生のケイ子とともに、1万匹のタマムシが引く飛行機
に乗って虹の国に行き、虹の国の子どもたちと冒険をする物語。
詳しくは https://x.gd/x39ud
文芸社 刊 ISBN:978-4-286-24684-0
定価:1,320円 (本体 1,200円)
判型:四六上
ページ数:164
発刊日:2023/11/15
ジャンル:童話
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【出版案内】
片山通夫写真集 ”ONCE UPON a TIME”
アマゾンでも電子雑誌として販売中! https://onl.bz/EVvmBhx
60年代から撮り続けたドキュメンタリー220点あまりを収録した写真集。1960年
代のキューバ、「北送」と呼ばれた在日朝鮮人の祖国帰還の新潟港。ベイルート
の重信房子、ブルガリア、チェコ、ルーマニアなど東欧諸国の民主化や廃墟とな
ったチョルノブイリ、作者のライフワークとなったサハリンの戦後問題。そして
時代を映す日本の折々の風景をモノクロームで描いた作品集。オンデマンド印刷。
全286頁。モノクローム写真239点を収録。
発行 publishing house Lapiz
本体価格 5000円(税込)+送料(600円)
お問合せ・ご注文はメールで。
michiokatayama*gmail.com *→@に変えてください。
お名前、電話番号、郵送先など連絡先をお忘れなく。
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◇編集長から:片山通夫
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郵便代がとても上がったと言うことでもあり、来年の年賀状は極力e-mailで済まさせていただこうと思っています。無論およそデジタルとは縁のない仲間も居られますので100%とは行きますまいが・・・。
ご無礼の段、平にご容赦。
同時に本年はお世話になりました。新しい年も皆様にとって良いお年であること
をお祈りいたします。
609studio https://www.609studio.com/
◇混乱の極みと言っていいだろう。韓国の政情だ。大統領のみならず大統領代行
も弾劾の憂き目。激しい気性の民族だとは聞いていたがこれほどまでとは・・・。
我が国の国民とは大違いだ。
◇アゼルバイジャン機が墜落したと驚いていたが韓国機も。「韓国で旅客機が着
陸に失敗・炎上 179人が死亡したと報道」痛ましい事故が続く・・。
◇気象庁は年末にかけて日本海側に警報級の大雪に注意。帰省客を襲うよう。
皆様、お気をつけてください。
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【609 Studio】email newsletter
発行日 2024年12月31日 #1188
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配信 まぐまぐ配信システム ID:00000522369
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購読 解除 https://www.mag2.com/m/0000052236
◇禁・無断転載◇
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【LapizOmline】宝生院は、香川県小豆島のある。このシンパクは香川県土庄町にある巨木でシンパクとしては国内唯一の特別天然記念物「宝生院のシンパク」で国指定特別天然記念物だ。
樹齢1,600年以上と言われ、周囲約16.9メートル、樹高約20.9メートルの巨木である。なんでも応神天皇お手植えだそう。この巨木を見ていると「象」「龍」「亀」がいるような気がしてくる。いやそう見えるのだ。考えてみると仏教に因んだ動物たち。
それゆえか神秘的で神聖なパワースポットとして多くの人に親しまれている。
註
宝生院:https://hoshoin.jp/about/
シンパク:植物学上、ミヤマビャクシンと言い、盆栽界では松に負けず劣らずファンが多い樹種 “神宿る。《宝生院のシンパク》片山通夫” の続きを読む
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【609 Studio】email newsletter 2024年12月10日 #1185
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◆現代時評《「えらいこっちゃ」の韓国戒厳令騒動》片山通夫
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韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、3日夜に非常戒厳を宣言してからわ
ずか6時間後に解除すると言う「事件」が起きた。
これを受けて韓国の最高検察庁は12月6日「特別捜査本部を組織し、今回の非常
戒厳関連事件に対して厳正に捜査する」と発表した。国会と中央選挙管理委員会
に実際に戒厳軍が投入され、戒厳宣言と指示過程に軍高官などが関与した点を考
慮した措置とみられる。つまり言葉は適切ではないが「上からのクーデター」と
言うよりも、やはり大統領の専制だったのではないか。
今のところ、冒頭に書いたように韓国の検察当局は正常な働きをしようとしてい
ると見られる。軍事政権時代の韓国、いや身近に我が国の司法当局の「腰砕け状
態」よりもまともかもしれない。決してユン大統領やその側近の現在まで、検察
当局は公正だったわけではなさそうだ。例えばキム・ゴンヒ大統領夫人のブラン
ドバッグ受け取り事件、ドイツモーターズ株価操作事件などが相次いで不起訴と
なっていることで、その公正性を疑われている。また警察もやはりチョ・ジホ警
察庁長などが戒厳関連者として告発された状態であり、「セルフ(自分で自分
を)捜査」という批判を受けている。(この項ハンギョレ新聞)
この辺りの韓国紙などの論調は日本の「忖度」マスコミとは違ってかなり手厳し
い。もっとも国民性の違いもあるのだろうと思う。考えてみたらだいぶ以前の話
だが、ある親しくしている韓国人から「稲作民族である日本人と、大陸の騎馬民
族の違い」を説かれたことがあった。考えてみれば稲作は一定の土地に定住する
必要があるが、騎馬民族は馬に乗って縦横に走り回るという特性があり、人間は
もちろん馬にも食料が必要だから、目の前の土地から奪わなければならない。こ
れは厳しい現実で常に戦うと言う精神を養わなくてはならない。これは厳しい。
またウイン大統領が「韓国野党は従北(北朝鮮に従う)勢力だ」と言う非難も今
更の感があり、にわかに信じられない。こう考えれば、今回のユン大統領の戒厳
令は彼自身や政府を守る行為だと理解できる。もっともそれが正しいのかどうか
ではない。
ただ大統領はそう判断したのではないか。勿論大統領に敵対する国会議員や国民
もまた「往年の騎馬民族」だった。おとなしく引き下がるわけはないのだ。いず
れにしても「えらいこっちゃ」の韓国であり、隣国である我が国も大きく影響を
受けるだろう。無論、北朝鮮の動向も気になる。そして周知のように、与党議員が大挙して本会議場から退出したため、大統領弾劾訴追案は廃案になった。今後の韓国内の動向、北朝鮮から目を離せない。
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新版 日本の島事典 単行本 2022/12/2
長嶋俊介 (著), 渡辺幸重 (著)
27年ぶりの改訂新版。収録島数、国内最多!日本の全容を総合知で集約した歴史
的大著?国土地理院地図情報をベースに有人島、人工島、無人島など約15,000島に加え、岩礁なども丹念に調べ上げ、島の現在を特定。
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出版社 三交社 (2022/12/2)
単行本 1600ページ
ISBN-10 4815540551
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「光太 虹の国に行く」 いのしゅうじ(本名・井上脩身) 著
中学1年生の光太が同級生のケイ子とともに、1万匹のタマムシが引く飛行機
に乗って虹の国に行き、虹の国の子どもたちと冒険をする物語。
詳しくは https://x.gd/x39ud
文芸社 刊 ISBN:978-4-286-24684-0
定価:1,320円 (本体 1,200円)
判型:四六上
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発刊日:2023/11/15
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片山通夫写真集 ”ONCE UPON a TIME”
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60年代から撮り続けたドキュメンタリー220点あまりを収録した写真集。1960年
代のキューバ、「北送」と呼ばれた在日朝鮮人の祖国帰還の新潟港。ベイルート
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ったチョルノブイリ、作者のライフワークとなったサハリンの戦後問題。そして
時代を映す日本の折々の風景をモノクロームで描いた作品集。オンデマンド印刷。
全286頁。モノクローム写真239点を収録。
発行 publishing house Lapiz
本体価格 5000円(税込)+送料(600円)
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◇編集長から:片山通夫
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隣国・韓国がややこしくなってきた。当初北朝鮮からはあまり素早い反応はなさ
そうだった。ふとロシアの戦争に加担して大量の兵士をウクライナとの戦線に送っているから、それが足かせになっているのかなと思っていた。
こうしてみると東アジアの波も高くなってきたのかと憂慮する。
全国的に急に寒くなってきた。急激な血圧の変動で意識障害や脳卒中などを引き
起こす「ヒートショック」に、細心の注意が必要となる。女優中山美穂さんの急
死は「ヒートショック」が原因だという報道も流れているようだ。御身大切に。
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【609 Studio】email newsletter
発行日 2024年12月3日 #1184
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90年ぶりに表に出た写真帖
関西村はあくまで復旧・復興までの仮設の村である。1924年2月末、仮設バラック500棟を翌年2月までに廃止する方針が打ち出され、関西村では1925年2月25日、解散式が行われた。
関西村病院は神奈川県による小児科と眼科が中心の病院になり、村の敷地のほぼ中央に高等小学校を新設。警察は別の場所に移された。
戦後、この一帯は大規模な区画整理が行われ、関西村当時の建物はすっかり消えた。
わたしは講座の数日後、関西村の跡地をたずねた。火の川となった中村川の上に高速道路が通り、そばに1951年に建てられた市立中村小学校の鉄筋校舎が見える。その隣に埋蔵文化財センターの朽ち果てかかった鉄筋コンクリートの建物。建物自体が文化財のような風情だが、関西村当時にはなかったものだ。小学校の西隣に市の中村地区センター。講義室や体育館があり、健康講座など、市民のためのさまざまな事業が行われている。実は関西村講座は、南図書館と地区センターの共催で行われたのだ。
地区センターの担当者に「関西村の名残をとどめるものはりませんか」とたずねると、「何もない。歴史を語り継ぐための碑をつくりたい。それには少しでも多くの人に知ってもらいたいと、講座を開いた」という。「全くなにもないのですか」ときくと、「関西村記念写真帖」と「横浜市日報」を教えてくれた。
写真帖は2013年、市民から南図書館に寄贈されたもので、約10点の写真には関西村全景や病院、役場、小学校、奈良通りのバラックなどが写っている。関西村開設1周年を記念して撮影されたとみられ、医師、看護師らが集合した病院前の写真、児童が体操している南吉田第二尋常小学校の写真など、関西村の実態を知るうえで貴重な記録である。これらの写真が、震災から90年という時空を超えて突然表に出たことが、松本教授らが研究を始めるきっかけとなった。
写真帖のうちの数点は松本教授の論文を取り上げた横浜市資料室紀要第5号に載っていて、わたしも目にしていたのだが、地区センター担当者の言葉から、これらの写真が重要な資料であると知ったのだ。あらためて写真を見た。不思議なことに、写っている人たちから震災に対する悲壮感が感じられない。関西村にいれば日々の暮らしができるという安心感があるからであろうか。
「横浜市日報」は横浜市が発行した。同市内にあった横濱貿易新報など3新聞社の活字を拾い集めて、震災10日目の9月11日付からタブロイド判の新聞製作をはじめた。毎日、青年会・学校・神社などを通じて市民に無料で配布し、10月31日付の第51号まで発行された。第20号を除いて横浜市中央図書館が所蔵しており、ネットで読むことができる。
第1号の冒頭、横浜市長が「貿易都市としての横浜の面目を回復したい」との抱負を寄稿。「臨時バラック建造」(第5号)、「罹災者避難所竣工」(第10号)、「公設市場の設置」(第15号)、「学童の残存4万余、688教室必要」(第17号)、「震災救護病院開始」(同)、「救護材料陸揚げ」(第19号)など、関西村に関係する記事も掲載されている。
大正デモクラシーのなかで
わたしは「関西村」について二つのことを思った。一つは、大阪府をはじめとする関西各府県の支援への動きの早さである。救援のため人材を派遣するだけにとどまらず、震災5日後には被災者のための病院をつくることまで決めているのだ。国からの指示や命令でなく、関西の自治体がタッグを組んで素早くやってのけたという事実は驚嘆すべきことだ。関東大震災は大正12年のことである。たしかなことはいえないが、大正デモクラシーの風潮が関係しているのではないだろうか。
大正デモクラシーはおおむね大正時代に起きた政治・社会・文化の各方面での民本主義の発展、自由主義的な運動、風潮を指す。民本主義を唱えた吉野作造が「政治は民衆の利益のためにはからねばならない」と主張していたのを受けて、震災当時の土岐嘉平・大阪府知事は「民衆のために」と、躊躇せずできる限りの支援を図ったのであろうか。戦後、短期ながら首相になった石橋湛山は『大正時代の真評価』のなかで、大正デモクラシーについて「デモクラシーの発展史上、特筆大書すべき時期」と評価したが、関西村はデモクラシー発展の象徴と言えるだろう。
ではなぜ関西村のことが後世に伝承されなかったであろうか。これが、わたしが思いをめぐらすもうひとつのことだ。これも大正デモクラシーが関係しているように思われる。
関東大震災では朝鮮人大虐殺のほか、9月16日には、無政府主義者の大杉栄が憲兵大尉の甘粕正彦らによって殺害される甘粕事件が起きた。こうしたことから、大正デモクラシーは関東大震災によって終わったともいわれる。終焉時期については異論もあるが、昭和に入って軍国主義が大手を振り、政治は天皇国家のためであって、民衆の利益のためではなくなった。大正デモクラシーは否定され、「民衆の利益」のための関西村は「なかったこと」にされてしまったのではないだろうか。関西村によって多くの被災者が生き延びることができたにもかかわらず、伝承碑のひとつも建てられなかったのはその証左であろう。
新しい憲法が制定され、民主主義国として生まれ変わろうとした戦後になっても、関西村を見なおし、再評価する動きは起きなかった。1960年に9月1日が「防災の日」と定められた後も、関西村は歴史の底に沈んだまま浮き上がらなかったのだ。
関東大震災が起きた100年前と現在では都市構造や住宅、交通、インフラなど全ての面で状況は全く異なる。関西村と同じものを造ったところで、適合しないであろう。とはいえ参考にすべき点は少なくないであろう。少なくとも、「被災した民衆の利益のために」という精神は今も変わらないのだ。
2024年は、元日の能登半島地震で始まった。遠からざる将来、南海トラフ巨大地震が起きるといわれている。地震大国ニッポンはいま不気味な胎動のなかにあり、巨大地震対策は急務である。その具体策は当然のことながら「民衆の利益」のためのものでなければならない。
民主主義の観点から、今こそ関西村を見なおすべきときである、と訴えたい。(明日に続く)
関西府県連合病院と小学校
震災が発生した日の夕方、森岡二朗・神奈川県警察部長は、横浜港から海を泳ぎ、東洋汽船の貨物船これ丸の無線を借りて東京府に救援を要請。応答がなかったため大阪府知事あてに「本日正午、横浜に大地震、ついで大火災あり。全市炎上。死傷おびただし」と打電。この無線が各地で傍受され、地震による惨劇が世界中に流れた。 “編集長が行く《関東大震災と横浜・関西村 #2》文・写真 井上脩身” の続きを読む