ボクは2022年秋に一冊の写真集を出版した。「Once Upon a Time」と名付けた。そう1960年代から撮り始めた写真でボクの半生の集大成だ。大きなきっかけはあの新型コロナのせいである。2019年末からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が我が国で始まったと記憶する。とにかく大騒ぎだったことはよく知られている。そんな中、写真は「現場へ行かなければ撮れない」ものだと固く信じていて困った。いろいろ考えてボクは「段ボール箱4個分のかつて撮ったフィルム」を整理することにした。カビで黒い斑点いっぱいのネガなどを呆然としながら2か月ほどは眺めただけだった。そのうちコロナも収まるだろうと甘い考えで…。しかしご存じのようにそうはならなかった。友人たちと飲みにも行けなかった。仕方がないので、フィルムを整理することにした。先に述べたように半世紀程に渡る期間のフィルムである。ほとんどを捨てたがやはりかなりの数が残った。それからが大変だった。山とあるフィルムを1本1本ライトボックスの上に広げてざっと見る。そして「これは!」と感じたフィルムを別の段ボール箱に放り込む。毎日約2か月程だったか同じことの繰り返しをした。そのあとの仕事が大変だった。ボクのようにずぼらな人間はこの後地獄を見た。カビを落とすという作業だ。ところが簡単には落ちないもので、エチールアルコールのしみ込ませたガーゼでフィルムを擦ったけれど、落ちたカビはわずかだった。アルコールはボクを酔わせた。ラりったのだった。この時点でアルコールで溶かせるという案は断念し、まずデジタル化した。つまり作品となる画像をまず選んで、フィルムスキャナーで読み取ったわけである。その後もう一度取捨選択した画像を写真加工ソフトで修正を加えた。
この時点でほぼ一年かかったのではないかと記憶する。
しかし世間ではまだまだコロナウイルスが暴れまくっていた。電車に乗るのも「危険」な常態だったので、事務所を引き上げることにし、自宅で作業をすすめることにした。
そうしてようやく写真集”Once Upon a Time”にまとめる仕事をデザイナーにお願いでき刷り上がった。 アマゾンで買う