現代時評《しのび寄る戦争の足音》片山通夫

幸せなら手をたたこう♪

歌手、坂本九さんはこう歌った。この歌には物語が残されている。その秘話が昨年の8月、東京新聞に掲載された。東京新聞を少し紹介する。
故・坂本九さんが1964年(昭和34年)に歌ってヒットした「幸せなら手をたたこう」。この歌を作詞したのは、61年前にフィリピンを訪れた学生だった。旧日本軍による加害の歴史への贖罪の念と、「苦しみや悲しみを乗り越えて命を尊び、日本人を受け入れてくれた地元の人々に応えたい」との思いがきっかけだった。
この秘話に関しては記事を読んでもらいたい。《旧日本軍による加害の歴史への贖罪の念と、「苦しみや悲しみを乗り越えて命を尊び、日本人を受け入れてくれた地元の人々に応えたい」》という思いが作詞されたきっかけだったとか。

12月8日

この日を忘れてはいけない。そう、あの戦争に突入した日だ。何の権力も持たなかった、もしくは持つことを許されなかった国民はただ政府やマスコミの言に踊らされるか、服従せざるを得なかった。なんか現在と酷似している気がする。

実効支配をめぐる状況

昨今南アジアでは南沙諸島をはじめとする南シナ海で、東アジアでは台湾をめぐり、また日本が領有する尖閣列島などをめぐって中国の進出が激しい。ついこの前も中露の艦隊による日本を取り巻く海域で共同実施していた軍事演習と「海上パトロール」が実施された。
そしてロシアがウクライナとの国境付近に17万もの軍を派遣しているという報道もある。

註:南沙諸島を実効支配する国々と状況 

一触即発

中でもロシアとウクライナは一触即発だという報道もある。アメリカの権威ある新聞」、ワシントンポストは次のように伝えた。
12月3日、米情報機関が作成した報告書の内容などとして、ロシアが大規模なウクライナ侵攻を計画していると報じた。

一方東アジアでは中国が台湾への侵攻を計画しているとしてロイターは次のようなシュミレーションを伝えた。
《焦点:台湾危機「T─DAY」、6つの有事シナリオ》ただ記事は長いのでクリックしてお読みいただきたい。

戦争勃発の危機

このように戦争が起こる危険は最近とみに高くなってきた。それもロシアや中国米国という大国が絡んでいる。それぞれの国にはそれなりの理屈がある。しかしその理屈が人命や人権などよりも重いということはないはずである。残念なことにプーチンや習近平はそれに気づいていないのではないか。いや、自分の後世に残す名声のために戦争を起こそうとしているのではないか?
わが国からもなんだか威勢のいい声が聞こえる。「敵基地先制攻撃」が特に馬鹿馬鹿しい。敵基地を先制して攻撃をするには、一か所や数か所の少ない敵基地では何の役にも立たない。ほぼ同時にすべての敵基地を無力化しなければ意味はない。何よりも「敵」も「同盟国」があるだろう。当然、「敵の同盟国への攻撃も、同盟国からの攻撃」も考慮しなければならない。

海岸線に沿って五十数か所もの原発を抱え、東京一極集中の首都などを抱えるわが国は数発のミサイルで極度の混乱に陥る。

テレビゲームではない

湾岸戦争だったか、テレビゲームをするようにモニター画面を見ながら「戦場から遠く離れて」攻撃するニュースを見た。ベトナム戦争のようにジャングルでお互い敵の攻撃におびえながら戦うのとは違う「きれいな戦争」だとたわごとを言って、勇ましく掛け声だけはかける政治家は一体どれほどの覚悟があるのか、一度聞いてみたいものだ。その攻撃された側の庶民の地獄に思いを馳せるという想像力も人間の心も持ち合わせていない連中に正義を説く資格はない。

絶対に戦争はしてはいけない。