現代時評《トランプの陰謀》片山通夫

とうとうその正体を表したと言うのが筆者が受けた印象である。この4年間、バイデン政権の間、トランプはおそらくかなり策謀を巡らせたと思う。自らの近くにバンス副大統領、マスクなどをこの4年間で親しく接したのだろうと思われる。
そして就任後の1カ月でトランプは色々なアドバルーンを打ち上げている。カナダをアメリカに、グリーンランドを手に入れたい、そしてパナマ運河はアメリカに、手始めにメキシコ湾をアメリカ湾に!つまり従来の常識を覆す提案をしてきた。関税引き上げを武器に…。

「【2月19日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領と実業家のイーロン・マスク氏の合同インタビューが18日、米FOXニュースで放送された。インタビューでは、2人が長時間にわたり互いを称賛し合い、トランプ氏が職権を乱用しているとの懸念を一蹴する場面もあった。」19日のAFP通信(フランス)
この両者、まさに蜜月でありかなり気持ちが悪い。そしてロシアとの「ウクライナ停戦」を直接交渉しだした。もっともこれは「自分が就任すれば停戦交渉に入る」と言っていたからその通りなのだろう。

しかしこの交渉には、一方の当事者であるウクライナやヨーロッパは交渉に入っていない。ロシアに地理的に近いバルト3国やフィンランドも入っていない。プーチンはともかく、EU諸国や当事者のウクライナを交渉に参加させないのは、これは交渉を失敗させる含みを持っていると考える。うまくゆけばトランプのおかげ、失敗すればウクライナやヨーロッパ諸国が「本気で和平を望んでないからだ」、「ウクライナの大統領は独裁者だ」と攻めることができる。
そんな中、米NBCが「米国が希少資源の5割所有を提案」と報道があった。「ウクライナに希少な鉱物資源の50%の所有権を米国に譲渡するよう提案していたのだ。当然ウクライナはこの申し出を拒絶した。
またバンス副大統領は対ロシア交渉で「ウクライナに米軍派遣」の可能性にも言及していた。戦争終結後に漁夫の利をねらっている。

こうしてみるとトランプ政権は、世界の領土や地減へ触手を着々と伸ばしている。近いうちに台湾をめぐる問題や北朝鮮にも手を伸ばすだろう。

この「手」は「悪魔の手」だ。この「悪魔の手」を断ち切るにはヨーロッパ各国、中南米諸国、アフリカやアジアの国々が団結してトランプにNOを突きつけなくてはなるまい。(文中敬称略)