現代時評《地震・雷・火事・・・》片山通夫

地震・雷・火事・・・と言う言い回しがある。よく子供のころに脅かされたものだった。なんでも江戸時代から伝わっている諺だという。蛇足ながら少し文末で説明しておく。この13日関西大阪万博が開幕された。様々な問題をはらんでの開幕だ。その3日前に奈良・帝塚山学園グラウンドで落雷事故が起こり、男子中学生2人が意識不明の重体となっている。当時動向グランドには100人程の生徒や職員が出ていたという。このような事故は毎年起こっていて、20人程度の犠牲者を出している。

不思議に思うのはこのような落雷事故が、最近天候異常などもあって頻繁に起こっているにもかかわらず、筆者が知る限り、完全な「報道規制」が行われているのか、万博では奈良の落雷事故には一切触れられていない。万博を運営する日本国際博覧会協会は会期中、会場周辺で雷の発生が予想される場合は来場者を大屋根に上らせないようにする。協会の防災計画では大屋根は「落雷の危険性が高い」としており、来場者の安全を確保するための措置となる。(産経新聞2024/7/27)

しかし今回の奈良県での落雷事故ではグランドに100人ほどの人がいたという。近くには校舎など建物があったにもかかわらず、重体の生徒が出た。
雷の音は空気がしん動することで伝わり、1秒間でおよそ340メートル進み、一方の光は電磁波であるために1秒間におよそ30万キロメートル進むことができる。 これは、音のおよそ100万倍ものスピードとなる。果たして万博協会の言うように発生の危険を察知してから・・・。とてもうまくゆくとは思えないのは筆者だけか?そういえば、落雷だけでなく南海トラフ地震の可能性にも夢洲の万博に関しては触れていない。しかし江戸時代には地震がもっとも怖かったようだった。今でも東日本大震災や能登半島を見ても恐ろしい現象だ。

もう一度書く。

稲光を見てから音を聞くまで10秒だったら、3.4km先で雷が起きたことになり、雷雲の大きさは数十キロある計算で、雷鳴が聞こえたときは、すでに雷雲の下にいて、いつ落ちてきてもおかしくないと言うことになる。

日本の報道機関は、「命にかかわること」なのに、まったくと言っていいほどこのことには触れない。「命輝く」がテーマの万博で…。

註:
地震・いつ起こるのか予想ができない、突発的な災害
雷・天気予報で発生や雷雲の動きを予想できる
火事・消すことができるし、逃げることもできる
親父・父親の権威や脅威を主張する表現