現代時評《そういえば「不沈空母」だったよな。》山梨良平

先月末の(2025/3/31朝日新聞)朝刊一面で「米国防長官『中国抑止、日本は不
可欠なパートナー』と日米防衛相会談で述べた」と報じた。つまり最前線に自衛
を配置するということだ。また、テレビ朝日・羽鳥慎一モーニングショーで、玉川徹さんは「在日米軍につ
いて『勘違いしちゃいけないのは、アメリカが日本に基地を置いているのは、日
本を守るためじゃないですからね。そこは絶対に勘違いしちゃいけない。アメリ
カはアメリカの国益のために基地を置いている。中東を含むアジアにおけるアメ
リカのプレゼンスのために置いている。前から言っているように日米ガイドライ
ンで、第一義的には自衛隊が対応することになっている。日本有事の際は。アメ
リカはあくまで、助ける、支援するだけ。だから日本を助けるために基地がある
んじゃない。そこをわれわれは認識したほうがいい』と(極楽とんぼの日本人
に)注意を喚起をした。

さてもうかなり昔の話。1983年、訪米した中曽根康弘元首相(当時)が「日米両
国は太平洋を挟む運命共同体という認識」を表明。また米紙との会見で日本列島
を「不沈空母に見立てる発言」をし、国会で論議を呼んだことがあった。今にし
て思えば中曽根氏の「不沈空母発言」はまさに当を得ていたわけだ。結果として。

政府は「かつてないほどに日米同盟が強固だ」と強調し、中国軍を抑止するうえ
で「日本は不可欠なパートナーだ」と語った米国防長官の言葉に感激したようで、
防衛費の増額を言われるのではと危惧していたが、この言葉を聞いて安堵した。
馬鹿じゃないかと思う。無論わが政府側のことだ。米国防長官の「中国抑止、日
本は不可欠なパートナー」にの酔いしれるのは、つまり我が国が、自衛隊が中曽
根元首相の言う「不沈空母」になったということなのに。

ロシアが北朝鮮から兵を借り、ウクライナの前線に投入した。見返りに石油など
をロシアが北朝鮮に送ったらしい。冷静に見れば台湾有事の時、沖縄は米国の最
前線になることを今回米・国防長官に約束させられたことになる。ロシア・北朝
鮮の関係とどこが違うと言うのだ。我が国の場合「まだ戦争は起こっていない」
だけのことではないか。

そういえば「不沈空母」だったよな。我が国は。