編集長が行く《東京・江東地区 上》文、写真 井上脩身

東京大空襲の現場をたずねて

街角に立つ焼け残った電柱

東京・台東区の下町に黒焦げの丸太が立っていると聞いた。1945年3月10日の東京大空襲によって焼けた電柱だという。調べてみると、作家、早乙女勝元さんがこの電柱をもとに童話『東京大空襲ものがたり』(金の星社)を書いていたことがわかり、さっそく読んでみた。電柱によじのぼって助かった少年が、大人になった後年、電柱にまつわる悲しいできごとを語るというストーリー。電柱は今に残る大空襲の生き証人というのだ。ずいぶん前、わたしは早乙女さんの代表作『東京大空襲』を岩波新書で読んだおぼえがある。東京大空襲から100年の節目の日を控えて、電柱に会いにいくとともに、『東京大空襲』の舞台となった惨劇の跡地をたずねてまわった。 “編集長が行く《東京・江東地区 上》文、写真 井上脩身” の続きを読む