アマテラス降臨

【609studio】後年、アマテラスはなぜか地上に降りたくなった。殿上人のままだったらきっと今よりも人々の尊敬を集めていたのではと思われる。およそ人間は身近なものよりも遠くで混沌として、ある意味想像できないものには、大いに興味も集めるのではないかと思うからである。きっとスサノオやニニギ、ニギハヤヒなどの神々が地上で結構な活躍・暮らしをしているのを、高天原で眺めていて「それなら私もイッチョカミ」してみたいとお考えになったのではないかと恐れ多くも想像するのみだ。
しかし高天原で尊敬を一身(心)に集められたアマテラスだが、「豊葦原之千秋長五百秋之水穂国(とよあしはらのちあきながいほあきのみずほのくに)」の魅力には勝てなかった。「私も行く」とおそらく駄々をこねられたのではないか。勿論太陽神でもあるアマテラスは弟神のスサノオのように暴れるような、はしたないことはされなかった。天孫であるニニギがうまくおさめているというか、うまく国つ神から奪った瑞穂の国を、アマテラスも欲しくなったようだ。高天原で集めた尊敬と尊厳を瑞穂の国でも欲しくなったとしたら難儀な神様。
しかし高天原から地上に降りてきたのはいいが、どこも満員状態で鎮まるべき場所がない。簡単な話、その辺に鎮座するというわけにも行かない。天上より降りてくる太陽神なのだ。困ったのは国つ神たちと既に降りてきたニニギたちだ。
不定期・続く