fiction《アマテラスの誤算012》片山通夫        

天孫降臨

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【609studio】さて我々の知っている一般的な天孫降臨は前回書いたように「高千穂(宮崎県)」へ降り立ったニニギノミコトの降臨を指す。記紀神話によると、アマテラスの孫にあたるニニギノミコトは、多くのお供をしたがえて高天原から「九州の高千穂」に降臨し、地上世界の統治者となる。いわゆる「天孫降臨」の神話である。ところがややこしいことに天孫降臨の聖地である「九州の高千穂」には宮崎県北部の西臼杵(にしうすき)郡高千穂町と、宮崎県と鹿児島県との境に連なる霧島連山の高千穂峰(たかちほのみね)の二説が存在する。
前者にはその古跡として高千穂神社があり、近くには「天岩戸(あまのいわと)」と呼ばれる岩窟をご神体とし、ニニギノミコトが鎮祭したと伝えられる天岩戸神社も存在し、後者には霧島神宮が鎮座している。聡明なアマテラスが自身の孫であるニニギノミコトを葦原中つ国に差し向けた時、100キロも離れた場所を明確に教えなかったようだ。そう、この場所は100キロも離れていた。
そのうえ、天の磐船に差し向けたニギハヤヒもいる。そのうえ日本書紀には神武天皇(ニニギのひ孫)の東征より前にニギハヤヒが大和に降臨していたと書かれている。
アマテラスも子供や孫、天津神の数の多さに混乱しているようだ。

天岩戸神社  https://amanoiwato-jinja.jp/
霧島神社  https://kirishimajingu.or.jp/
岩船神社   https://www.iwafune-jinja.net/

不定期・続く