現代時評plus《買収ではなく投資》片山通夫

石破首相の訪米でトランプ大統領はUSスチールの買収は「買収ではなく投資」だと米国内の世論をなだめる方向に転じたようだ。しかし報道によると全米鉄鋼労働組合が警戒感「政権や両社から連絡を受けていない」と警戒している。まあこれは米国内の問題だから我が国では大きくはならないのではないか。しかし「買収ではなく投資」という表現はどこかで聞いた言い回し(表現)だと思ったら、「撤退」でなく「転進」だとか「全滅」でなく「玉砕」という表現が過去の戦争で我が国・大本営が盛んに使っていた発表にあった。いわゆる大本営発表では隠しおおせない「敗退」を「転進」と美辞麗句で表現した。「全滅」を「玉砕」と。

古今東西を問わず、政府はこうした飾り言葉で国民を騙してきた。我々国民は「事実」だけを見つめる訓練をしなければならない。まして世はAIが牛耳る世の中になってきた。昨年の兵庫県知事選やその前の都議選にみられる「SNS」
の大量情報が世論、もっと言えば当落を左右する事態になっていることに国民は留意しなければならない。

昔から「巧言令色、少なし仁」と言うではないか。いくら政治家と言うものは言葉で生きているとはいえ、「少なし仁」に騙されないようにしなければならない。「買収」と「投資」とは似て非なるものだ。