衆議院が解散されて、公認されない裏金議員の恨み節が聞こえる。自らの行いを恥じず責任転嫁も甚だしい。国民を愚弄した報いだと思うのだが、どうもそうは思っていないようだ。恨むなら安倍、管そして岸田氏を恨めばいい。いや、自らの以前の行いを恨むべしだ。
24/10/9付の毎日新聞はこう書いた。焦点は《「裏金議員」の当落だ。政治資金収支報告書に不記載があった議員らのうち約50人が衆院選に立候補を予定し、旧安倍派が大半を占める》と。石破首相にとって「変節」を攻められて苦しい立場だろうが、それもこれも承知の上で総裁選に立候補し、そして決選投票で勝利した。相手の高市早苗は13人もの裏金議員を立候補の為の推薦人にして「知らなかった」としれっとする「腹の黒い」人間だと思える。言い換えれば目的の為には手段は選ばない人間と見える。
恨み節は今回の選挙で党の公認を得られなかった議員だけではないかもしれない。その最たる議員が高市氏だろう。彼女は自らが「得る」為には手段を選ばない。何を得たいのかはその時々で決める。彼女自身は思慮深く決めるのだと思う。しかしそれは少し醒めた目で見れば、彼女自身の目標を達成するためだけの手段なのだろう。
筆者が印象深く覚えているのは、確か2005年の小泉政権下での、いわゆる郵政選挙で高市氏は当選し、小泉首相(当時)に「当選しました!」と喜びのあまり電話を掛けた事だ。彼女はその時いわゆる刺客の立場だったにしても、有権者をさしおいて首相に電話する姿に違和感を覚えた。政治の中枢でありたいという姿勢がありありと見えたからだ。
そんな高市氏が「裏金議員」13人に推薦してもらっていて「知らなかった」ではすまないと思うのだが、かくも自民党の政治家は品性にかける人物ばかりなのかと思ってしまう。聞けばこの13人の推薦人の中にはあの杉田水脈氏もいるという。理性ある政治家なら、まして勝てば総理大臣という立場の高市氏が杉田水脈氏を総裁選候補の推薦人に依頼する人なのだ。ちなみに杉田氏は次の選挙には出られない。闇金がたたって。高市氏が今後杉田氏をどのように処遇するか興味の湧くところだ。そういえば少し古いがニューズウイーク日本版(23/11/23)には「自民党はなぜ杉田水脈議員の暴走を止めないのか」と大見出しで書いたことがある。ところが同氏は同様の投稿を繰り返している。SNSを中心に支持者によるヘイトスピーチの再生産も行われている。高市氏が杉田氏をいさめるのかどうかも気になる。
せめて教養と思想、また理念と品性を備えた政治家が我が国に欲しいものだ。過去には多くの人物が政治家として居られた。高市氏をはじめ多くの政治家に勉強してもらいたい。知性は勉強だけで身に着くとは思わないが。
参考 https://www.newsweekjapan.jp/fujisaki/2023/11/post-63.php