【609studio】コルサコフ(大泊)は港町である。ここから、いやここへ稚内からの連絡船が着く。稚泊連絡船である。コルサコフは港を見下ろせる丘の町であった。この町にも残留朝鮮人は大勢暮らしている。2・3人に聞いてみた。彼らが口々に言うのは決まっていた。
「次に日本か韓国への帰国船が着けば一番に乗り込む」為にコルサコフに住んでいる。
コルサコフの小高い丘の上に墓地がある。迎えの船が着かないうちに亡くなってしまった人たちのお墓である。しかし日本人も戦前には沢山住んでいたはずなのにお墓は見当たらなかった。「日本人は日本人はお墓まで帰国した」と言う話だった。
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