Webサハリン物語《episode#3 植民地朝鮮で土地収奪など皇民化政策》片山通夫

サハリンに残る奉安殿

【609studio】サハリンに朝鮮人がいるということは、強制連行であれ自発的に仕事を求めて渡った人であれ、結果的には植民地朝鮮では職を得ることができなかった人やその家族だ。名前を日本風に変えさせられ(創氏改名)、土地調査と称した農地を中心にした国有地化と日本人に払い下げなどで農地を奪われた人たちが、甘言に乗せられて日本や樺太に渡って職を求めたってどんな罪があるのだろうか。アイヌ民族もそうだったが「同化」、「皇民化」させられながら生きてゆく辛さは日本人のボクには想像もつかない事だった。

あるサハリン韓人である女性が、ボクに言った言葉が忘れられない。彼女はボクに《「その時その場所にいたという罪」で私の夫は樺太に来た。「そこにいた」というのが私と夫の罪だ。》
流ちょうな日本語で寒空のコルサコフ(元大泊)のバザールで話してくれた。
はじめは彼女の言う意味が分からなかった。外国人である彼女と日本人のボクでは、如何に日本語が流ちょうであっても、やはり意味がつかないのかと考え込んだ。
違うのだ。彼女は自らの運命を、嘆きを吐露したのだった。 不定期・連載