京都の北側山間部から滋賀県に入り琵琶湖に流れ込む安曇川流域には「しこぶち」という名の神社が7つある。その中で唯一京都府域にあるのが、久多の「志古淵神社」である。この7つの神社には河童にまつわる伝説が残されている。
昔、志古淵さんというイカダ乗りの名人がいた。イカダは京都から滋賀県に流れ込み、最終的には琵琶湖に流れ込む安曇川を下ってゆく。ある時子供を乗せてイカダで川を下ってゆく途中、息子の姿が見えなくなった。大慌てで志古淵さんは川をせき止めて子供を探した。すると子供を抱えた河童が岩陰に隠れていた。子供を抱えた河童を見つけた志古淵さんはイカダ乗りには決して悪さをしないと河童に誓わせて子供を取り返した。
以後河童は悪さをしなくなり、志古淵さんを「イカダの神様」として神社にお祀りしたと言う。
川の航行の安全の神様になったわけである。