現代時評《崩壊した日本 「Jアラートと敵基地先制攻撃」》山梨良平

先日朝からNHKは「Jアラート」をがなり立てていた。北海道付近に北朝鮮から発射されたミサイルが落下する危険を国民に告げていた。テレビの画面は「真っ赤だった」。漁船など船舶は何処へ逃げればいいのか?だが明確な指示はなかったように思える。新幹線を含む鉄道は運航を停止した。当然駅には人があふれた。万一そこにミサイルが落ちれば被害は甚大だ。列車は走らせて被害を分散する方がいいのに。列車への対応はニュースになったけれど、北海道電力の泊原発はどうしたのだろう? この件のニュースは見当たらなかった。山口壮原子力防災相は昨年5月13日の閣議後会見で、原発への武力攻撃に対する防衛について「ミサイルが飛んできてそれを防げる原発はない。世界に1基もない」と明言したことを付け加えておく。

自民党の小野寺元防衛相がこの後次のように述べたらしい。(TBSニュース
北ミサイル「初めて攻撃の意図を持って撃ったとも言える」
つまり北朝鮮は日本に攻撃の意図をもって発射したと言いたいのだろう。
ご本人はおそらくチャンスとばかりにこう述べたのだろうが、後先見ない発言だ。今回のような事態、つまり北朝鮮が撃ったミサイルは3段式で第一段は早々に公海に落下したらしい。その時「敵基地先制攻撃」をすれば、日本はたちまちハチの巣騒ぎになり、北朝鮮との戦争に突入する。

北朝鮮はすでに核兵器も持っている。ロケット(ミサイル)発射の技術も、知ってる限り一度の失敗だけで、その後すべてにおいて発射に成功している。一方の我が国は種子島での自前のロケットは3回にわたって失敗した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によるとH3ロケット打ち上げ失敗は「電源系統に異常」という。
技術の差は歴然だ。大学を含めて学術会議などの研究機関や個人に対して、目の前に見える利益を生む、それでなければ予算を割かないという政権・与党の姿勢では、技術もその成果もますます世界から立ち遅れて行く。先の見えない袋小路に迷い込んだ日本の招来は暗い。それが今回のJアラート騒ぎに見える小野寺元防衛相の発言で明確になったような気がする。

この記事を書いているうちに、ひょっとしたら自衛官という武官よりも、文官である馬鹿な政治家の方が危険かもしれないと思うようになった。