ONCE UPON a TIME 外伝 ”Ciudad de Mexico”片山通夫

キューバ航空機

カタカナで書くと”シウダ デ メヒコ” と読む。そのまんまメキシコシティ。
は知らなかったが、それにメキシコ合衆国らしい。アメリカだけじゃなかった、合衆国は。
それはともかく、とりあえずホテルを探してバスの旅の垢を流した。さっぱりと!
そして日本を出るときに聞かされていた電話番号をダイアルした。日本航空メキシコ支店だった。電話の相手はボクが今何処にいるのかと聞いてきた。ホテルの名を言うとすぐにチェックアウトしてロビーで待つように言われた。
なんでもまもなくハバナ行きの便が出るらしい。ボクにとってはそんなの知らんがな…である。とにかく迎えに来てくれて空港まで送ってもらった。日本航空の飛行機に乗るわけでもないボクを親切に面倒を見てくれたわけだ。いずれにしても日本航空のお世話になった。

そして空港でまたひと悶着。搭乗手続きを済ませてまでは問題なかった。メキシコのイミングレーションも問題なかった。登場ゲートの手前で「US Emigration」と書かれた所があるので、それを見ながら「おかしいな。ここじゃないのか」とハバナ行きの出発ゲートを探していた。すると「ハバナ」と呼ぶ声がした。やはりそこだった。つまりキューバへ行く客は「アメリカの出入国管理」を再び通らなかったら行けないのだ。そこでパスポートとビザのチェック、コピー、ボクの写真をとられた。アメリカという国は何処までも厚かましい。こんな経験はずっと後でアルメニアでもあった。アメリカじゃなく、ロシアだったが。

結局少し遅れてボクは座席に座ることができた。 航空会社はCubana de Aviacion。

 

現代時評《起こるか?クーデター》片山通夫

もちろん私の単なる推論でしかない話だが、昨秋から今に至るまで、ロシアの状況はあまり芳しくないようだ。当初、つまりほぼ一年前に満を持してウクライナに攻め込んだのはいいが、ウクライナ国境付近に車列64キロが衛星写真で撮影された。無論この車列はロシア軍のものだ。つまり何らかの理由で前に進めなくなったわけだ。通常の考えでは燃料の補給や車両の不備が原因なのかもしれないと思う。プーチン氏は「キエフ(今はキーフ)を1週間で陥落させる」予定だったようだ。その64キロメートルの車列は混迷する戦況の予兆だった。 “現代時評《起こるか?クーデター》片山通夫” の続きを読む

ONCE UPON a TIME 外伝 ”メキシコはメヒコというらしい”片山通夫

グレイハウントバス

アメリカとメキシコの国境のゲートは問題なく通過できた。きっと旅行者なんてはいて捨てるほどいるのだろう。アメリカ側で一緒になったアメリカ人が十数名一緒に越えたことも大きかったのかもしれない。とにかく彼らとはメキシコシティまでは同じバスで移動するというので、まったくスペイン語のできないボクは心強かった?!少し歩くとバスの停留所があった。そこに制服も来ていない男が

タコス
サボテン
サボテン

立っていて案内している。パスポートに書かれた名前とメキシコのビザ、それにバスチケットを見せると傍らに止まっているバスを指さす。言っちゃ悪いが、まったく田舎のおんぼろバス。それまでの快適なエアコン付きのバスと雲泥の差。ついでに言うとメキシコのバスはトイレもなかった。
時折止まるバスステーションでトイレ休憩と簡単な飲み物やスナックを手に入れる。時にはバナナ、ヤシのジュース。
当然メキシコの通貨だったが、いつ何処で両替したのかは記憶にない。
何しろはじめてのメキシコの旅だったので、見るものが珍しくそちらの方に気がイっていたのだと思う。鮮明に覚えているのは人の背丈ほどもあるサボテンとタコスという食べ物。
いずれにしても今更と言われるだろうがボクには珍しかった。こうしてボクらのバスの旅は何日か続いた。

ONCE UPON a TIME 外伝 ”サンフランシスコからメキシコシティへ”片山通夫

国境を通る車(イメージ)

グレイハウント(バス会社)のチケットをよく見ると、ロサンゼルス発になっている。バスセンターでそれを指摘されロサンゼルス行のバスに乗った。その後ロサンゼルスで乗り換えてようやくメキシコシティ行のバスに乗ることができた。
記憶はあやふやだが、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴとメキシコのバハカリフォルニア州ティフアナが最西端の国境の町だった。国境はちょうど日本でいうと高速道路の料金所のような佇まい。車ももちろん国境を越えることができるが、ボクはその手前のグレイハウントのバスディーポでおろされて徒歩で渡った。国境を歩いて渡ったのははじめてだった。島国に生まれ育ったボクは「国境を歩いて渡る」というのが新鮮だったことを鮮明に覚えている。

ここで断っておくが、ボクは英語を含む外国語は出来なかった。それでも横浜からサンフランシスコの2週間で英語は何とかだいぶましになったと思っている。そしてメキシコシティの1週間余り、同じバスに乗った人たちとも仲良くなり意志の疎通は図れた。もちろん賢明な読者の皆さんのレベルでは決してない。ということはスペイン語なんて・・・。

以前、まだ学生の頃、中国へ行った。中国は「書けば通じる」所だった。しかしアメリカは・・・。ましてメキシコは!!

ONCE UPON a TIME 外伝 ”キューバへ行くのか?”片山通夫

イメージ

先に書いたように、アメリカとキューバは犬猿の仲。「キューバへ行くのか?」税官吏は驚いたように2度そう叫んだ。そしてボクのバックの中を徹底的に調べだした。特に何もないのでそれ自身は簡単に終わった。子細に調べたのは荷物よりもパスポートとチケット。(何を疑ってるのだろう?)
しかし怪しいところはないので、それも無事に終わった。最後に今も鮮明に覚えているが、彼は自分の手で自分ののど元を切るしぐさをした。「カストロ!」と言いながら。きっとそんなところへ行けば殺されるぞと言いたかったのだろう。
それでもようやくサンフランシスコの港でホテルを予約し町に出た。バスは明日出発。
ボクは「ホノルルでアメリカに入国した」と思っていたが、アメリカ本土にはまだ上陸していなかったので「入国はしていない」のだそうだ。
その夜ボクは船室で仲良くなった日本人とホテルの部屋で語りあかした。彼はウルグアイのモンテビデオへ明日午後に飛ぶらしい。キューバも人を驚かせるようだが、モンテビデオにも驚いた。