◇現代時評《不謹慎だとは思うが・・・》片山通夫

比較しては不謹慎だとは思うが、英国のエリザベス二世(96歳)が亡くなられた。在位70年という。BBCニュースによると、《王室は声明で、「女王は本日午後、バルモラルで穏やかに亡くなった」と発表。「国王と王妃は今晩、バルモラルにとどまり、明日ロンドンに戻る」と発表した。》チャールズ皇太子が直ちに国王に疲れたということだ。女王の死去に世界から驚きと悲しみが伝えられた。特に印象的なのは現在ロシアに侵攻されているウクライナの大統領からのメッセージを紹介したい。
《英エリザベス女王死去「深い悲しみ」 ゼレンスキー大統領ーウクライナのゼレンスキー大統領は8日、ツイッターに、英国のエリザベス女王の死去を知り「深い悲しみに包まれています」と投稿。「国民を代表し心から哀悼の意を示します」と述べ、英国の王室や国民に対し「私たちの思いと祈りは皆様と共にあります」と呼びかけた。エリザベス女王はロシアの侵攻を受けるウクライナの難民らに多額の寄付を実施。8月24日のウクライナの独立記念日には祝福のメッセージも送っていた。【ブリュッセル岩佐淳士】》毎日新聞9/9 08:02

一方、安倍元首相は凶弾に倒れた。通常凶弾に倒れた政治家、まして岸田首相に言わせれば「安倍内閣が総辞職 連続在任最長、2822日で幕 – 日本経済新聞」で国葬に値するらしいが、エリザベス女王の在位危難に比べればたったの一割程度だ。決してほめたり、呈するつもりはないが、安倍元首相が凶弾に倒れたのにはそれなりのわけがある。容疑者は統一教会に家庭を壊されたという理由で「統一教会の広告塔であった元首相」を狙ったという理由があった。そして早々と「国葬」という決断を首相が発表したらしいが、国民の感情としては、国葬に値する人物だったかと疑問が湧いてきて、今やマスコミ各社の調査でも、過半数が国葬反対となっている。

そもそもエリザベス女王と安倍元首相を比べることに、どれだけの意味があるかは筆者も疑問だが、安倍国葬の期日が迫ってきている現在、どうしても比べてしまうのは、人間の感情としていたしかたのないことだ。
女王最後の仕事が新しく、党内選挙で選ばれた首相を任命することだったようだ。

最後に、二人の死を比べることは意味のないことだし、理不尽でもあろう。けど人間の浅はかさで、どうしても比べてしまう。願わくば安倍元首相の家族が国葬の辞退を首相に申し出れば丸く収まるのではないかと考える。