現代時評《夏の思いで》片山通夫

小さな漁港が和歌山県にあった。加太港と言った。ある夏、隣接する海水浴場で民泊したことがあった。時期は定かではないが、「南国土佐を後にして」と言う歌が街中を席巻していた。最もボクはかなり後でないと、はやり歌は知らなかった。なにはともあれ、加太の民宿の前にあった岸壁は漁船の溜まり場だった。そして夕日が沈む頃の岸壁は近所の夕涼みの人々が集う場所だった。そんな時あの歌が聞こえてきた。きれいな声で何人かで歌っていた。聞くともなく聞いていたら、歌詞に「薩摩おろしがそよそよと・・・」とあった。 “現代時評《夏の思いで》片山通夫” の続きを読む