先ごろ、「カトリック教会のリーダーがロシア正教会のリーダーとウクライナの戦争について話をしました」と、CNNが伝えた。フランシスコ教皇がイタリアのメディアに明らかにしたもので、ロシア正教会のキリル総主教に「プーチンの言いなりにならないよう説得」したという。。40分の会談でキリル総主教は「我々は戦争をしたくない。ロシアは誰にも攻撃したことはない」。プーチンとキリル総主教は所謂盟友だと言われている。出身は二人ともサンクトペテルブルグ。キリル総主教は教皇との会談の冒頭、書面を片手に持ち、戦争を正当化する理由を20分間にわたって読み上げたという。これに対して教皇は「私はそれを聞き、『全く理解できない』と言いました。我々は国家の聖職者ではない。イエスの言葉で話さなくてはならない。総主教はプーチン氏の侍者になることはできない」、つまりプーチンの言うがままになるべきではないと話したということだったが、総主教は聞く耳を持たなかったようだ。
全く関係はないがかつて帝政ロシア時代にグリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチンと言う怪僧(祈祷師)が表れて帝室を跋扈した。この時は皇太子に当たるニコライ2世が壊血病と言う病気に罹っていて皇后がいたく心配、ついには怪しげな怪僧を頼みにしたと言われている。
ラスプーチンは、帝政ロシア末期の祈祷僧でシベリア・トボリスク県ポクロフスコエ村出身。 奇怪な逸話に彩られた生涯、怪異な容貌から怪僧・怪物などと形容される。(ウイキぺディア)
勿論、時代も違い二人を同一視できない。筆者が思うに一般にロシア人は迷信深い。古い言い伝えや伝説などを信じやすいようだ。例えば何年か前サハリンで、筆者の知り合いの父親が亡くなった。たまたま筆者はサハリンにいたので、彼の葬儀に出かけた。素朴な心からの葬儀だった。しかし亡くなった方の親族以外は筆者だけが埋葬する墓地まで付き合った。運転してくれたタクシーの運転手も墓地の入口から動こうとしなかった。なんでも「悪い霊(死霊)が取りつく」というのが理由だった。
このような例はほかにもありそうだ。帝政ロシア時代ならいざ知らず、キリル総主教にしてみればロシア人の迷信深い性格を利用しているのではないかと思う。総主教はプーチンとべったりで彼の考え通りにロシア正教と言うツールを使って迷信深いロシア国民を操っているように思えるのだ。ロシア国民のプーチン支持が高いのも何となくうなづける。