現代時評《プーチン氏の思惑》片山通夫

黄金の門・キエフ公国

プーチン氏がウクライナにこうまで固執する理由を筆者なりに考えてみた。下手な考え休むに似たりともいうけど。ウクライナという国はソ連時代のずっと以前、つまりロシアという国が出来上がろうという時代、元々はキエフ公国という国が発祥。言ってみれば飛鳥時代や奈良時代のようなもの。ロシアの主な宗教はロシア正教というキリスト教の一派。東方キリスト教の一派。東京にニコライ堂がある。あれはハリストス正教会の本部で元々は明治の初め、函館にロシアから伝わった。函館にはハリストス正教会という小さいがきれいな教会がある。
余談はさておきキエフ公国は古代ロシア (ルーシ) の国家。 ドネプル川中流右岸キエフを中心とする公国。 9世紀末から 13世紀にかけてその公が大公として周辺諸公国に君臨したことにより,ロシア最初の統一封建国家 (キエフ・ルーシ) となった国である。

キエフ(現ウクライナの首都)がロシアのルーツと言えばわかりやすい。プーチン氏にとってキエフは我々にとっての奈良や京都のようなモノと思っている可能性がある。そのキエフ(ウクライナ)が敵対(?)する西ヨーロッパ(NATO)に擦り、寄りその組織の一員足らんとするのは我慢のならないことなのではないかと推察する。

次に経済に関する謎を推察する。

ロシアは現在というか元々農業国であり、現在もそうであるが、農業だけでは生きてゆけない。土地は広いが寒い国なのであまり農業に適しているとは言えない。しかし今やロシアは世界有数の産油国なので、天然ガスや原油の輸出で外貨を稼ぐことができる。ところが世界の趨勢は脱炭素に傾いている。とくにヨーロッパは顕著だ。今でこそドイツなどはロシアの天然ガスを大いにかっている。しかし時代は電気自動車にシフトしている。早晩車や冷暖房は電気に変わる。ロシアとしては将来を見るといささか心もとない。民間企業の自動車会社も電気や水素などにシフトしているのに…。そりゃ焦る‥。そこで必要なのが開発技術と資金、資金を得るには現在のところオイルやガスを売らなけりゃ・・・。一方ウクライナは1990年代にITアウトソーシング企業が誕生し、主に西欧や北米のシステム開発の請負をすることで同国のIT産業は急成長、IT大国である。同じロシア語が通じ同じスラブ民族で技術力の高いウクライナがNATOに参加、言い刈れば世界に羽ばたくなんて、プーチン氏にすれば指をくわえて見ているだけでは収まらない。

筆者は90年代初めにモスクワや東欧を回ったことがある。そこで目撃したのは、地下鉄の駅を出たところで様々な品を手にもって黙って立っている人々だ。彼らは家にあった銀器や陶磁器などを売っていた。あの頃、ソ連が崩壊してロシアになって国は貧しかった。プーチン氏もおそらくこの時代貧しかったようで、アルバイトでタクシー運転手をしていた(写真)という話もある。

もしかしてプーチン氏は再びあのような目に国民を合わせることは出来ないと常に考えているのかも知れない。