◇現代時評《国の品格》山梨良平

コロナの蔓延が半端ない状況だ。オリンピックの、パラリンピックの影響なのかもしれない。我々国民の気のゆるみも大きいと思う。なにしろオリンピックやパラリンピックというお祭り騒ぎもあって。

そんな9月が始まった。マスコミは「岸田氏の総裁選出馬」だの「自民党役員任期がどうの」だとか、「幹事長交代交渉」だのと姦しい。(しかしこの「姦」という漢字も意味も女性差別になりそう!)
挙句の果てに菅首相では衆議院選は戦えないとか言い出す輩、それも自民党議員の中から出ている。

筆者に言わせると「総裁の任期も衆議院議員の任期も、オリンピックもみーんな一年前から決まっていたことだ。何をいまさらジタバタと」と思うわけである。
どうして一年前から手を打たなかったのか?コロナ対策にしても同様だ。オリンピックなんてお祭り騒ぎはやめるべきだった。オリンピックで国民が「力をもらった」って言ったって所詮気持ちの問題だ。コロナウイルスをその力で撲滅出来るわけではない。まさに「竹槍戦法」である。「欲しがりません、勝つまでは」の精神論でしかない。

昨9月1日だったか、こんなニュースに接した。所謂「文春砲」だと思う。少し引用したい。
《河野太郎大臣パワハラ音声 官僚に怒鳴り声「日本語わかる奴、出せよ」9月29日に自民党総裁選が迫る中、世論調査で「次期首相1位」に挙げられる河野太郎ワクチン担当相兼規制改革担当相(58)。8月24日に行われたオンライン会議の場で、資源エネルギー庁の幹部職員にパワハラを行った疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。》⇒https://bunshun.jp/articles/-/48318
詳細はお読みいただくとして、音声データがあるらしいので、あながち嘘とは思えない。しかしこの河野という男も「権力に媚びへつらい、権力を得ると居丈高に弱い者いじめ」する最低の男だった。このような男が次期首相にカウントされていたとははなはだ情けない。父親の河野洋平氏との差が悲しい。

一方外交官にも驚く輩がいた。アフガン撤退のニュースに世界中が注目していた先月末、韓国のハンギョレ新聞が次のようなニュースをながした。

《:2021-08-28 07:26 「必ず助けに来ます」韓国外交官の約束…「国の品格を証明できて嬉しい」キム・イルウン駐アフガニスタン韓国大使館公使参事官 、「タリバン、約束に反し、空港への通行止めた 、窓が塞がれたバスに15時間も閉じ込められ 、全員何も食べられず、子どもたちの泣き声響く… 。外交部がカブールに戻ることを決断して幸い」》詳しくは本記事を読んでいただくとして、この脱出劇は薄氷を踏む思いだったようだ。
一度カブールを離れた韓国大使館の参事官は再びカブールに戻って協力者を連れて脱出した。
⇒http://japan.hani.co.kr/arti/politics/40947.html

次はわが国の駐カブール大使館のニュース。
《 在アフガニスタン日本大使館員が国外退避。外務省は17日、アフガニスタンの治安状況の悪化を受け、首都カブールにある日本大使館の職員12人が同日、友好国の軍用機で出国し、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに退避したと発表した。共同通信8/17(火) 15:23配信》
《自衛隊アフガニスタン撤収 現地スタッフ500人 2回の退避機会実らず。TBSnews 9/1(水) 7:31配信》
⇒https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4349980.html

危険を顧みずにカブールに戻った韓国参事官と、現地で日本のために働いてくれたアフガン人達を見捨て、早々に離脱した日本。無論人の命の差はない。しかし筆者にはオリンピックに浮かれる日本と自爆で大きな被害を受けたカブール空港でアフガニスタン人協力者390人と一緒ともに耐え、助けた韓国参事官。
韓国参事官の言葉「国の品格を証明できて嬉しい」が筆者には響く。

ふと思ったが、日本にも過去には立派な人もいた。杉原千畝氏。今更彼のことをここでは書かない。
⇒http://www.sugihara-museum.jp/about/

「国の品格」は「個人の名誉」とは相反するモノだ。