現代時評《五輪開会と天皇政治利用》井上脩身

東京オリンピックが7月23日、開幕し、国立競技場で行われた開会式で、天皇が開会を宣言した。1964年のオリンピックでも昭和天皇が開会宣言をしており、東京五輪の名誉総裁として当然の任務を果たした過ぎないが、57年前の五輪と決定的に異なるのは、スタンドに観衆が一人もいないことだ。宮内庁長官の「(陛下が)感染拡大を懸念している」との拝察発言が全く無関係とは言い切れないだろう。その効果に着目し、天皇を政治利用しようとする動きが出てくる恐れもないとは言えまい。私は、この五輪が戦前回帰への起点になるのでは、との不安にかられるのである。 “現代時評《五輪開会と天皇政治利用》井上脩身” の続きを読む