現代時評plus《和歌山モデル》片山通夫

 先月、米紙「ワシントン・ポスト」に、和歌山県の新型コロナウイルス対策を絶賛する記事が掲載された。県は政府の反応を待たずに知事の強力なリーダーシップの下で迅速な検査と感染ルートの追跡を徹底した結果、封じ込めに成功したとたたえている。
「和歌山モデル」と呼ばれるそれは、迅速な判断と行動によってウイルスの流行を抑制し、感染の連鎖を絶つことができるといった教訓をもたらした。

地元紙熊野新聞がこう伝えたのは 2020年4月9日のことである。そこには県民の知事に対する信頼があった。
ちなみに今高齢者のワクチン接種率を見ても、政府の集計では、16日時点の1回目の接種率は、全国平均が2.57%のところ和歌山県は9.47%。県によれば接種対象の30万9000人のうち、2万9270人が1回目の接種を終えたという。
和歌山に次ぐ高知県は8.43%、山口県は6.57%。医療崩壊が深刻な大阪府は1.72%、東京都は2.31%となっている。

医療崩壊が深刻な和歌山の隣、大阪府では吉村知事が「イソジン知事」として名を馳せたのとは、大きな違いがある。もう一度言う。「和歌山モデルの知事」と「イソジン知事」。

ところで和歌山は人口94万あまり。仁坂知事は山間部や海岸沿いに点在する市町村に積極的に県のHPで「知事からのメッセージ」として情報公開を行っている。

大阪でももちろん知事室のページは作られている。しかしそこには和歌山県のような積極性はみられない。もっぱら「好きなテレビ出演」で広報活動をしているように見受けられる。
勿論「大阪モデル」と呼ばれるような形のスタイルは見受けられなかった。

どうして吉村知事は「和歌山モデル」を学ぼうとしないのだろうか。

まさか府民の命より自分のメンツのほうが大切なのだろうか。