once upon a time《根室半島 001》片山通夫

根室半島の突端は納沙布(ノサップ)岬。この「ノサップ」の地名の由来は、アイヌ語の「ノッ・サム」(岬の傍ら)の意味。本来は岬の傍らにあった集落の名前である。根室市に所属し、珸瑤瑁水道を挟んだ海の向こうには現在ロシア連邦占領実効支配が続いている歯舞群島、さらには国後島を望む。歯舞群島・貝殻島までは3.7km、水晶島までは7kmしか離れておらず、肉眼でもその姿を見ることができる。また、ロシアの巡視艇が海上に頻繁に姿を現す。

現代時評plus《悩ましい日々 3》片山通夫

「日月潭、今月末から3月上旬まで桜のシーズンに 名所でイベント/台湾」これは台湾の通信社「フォーカス台湾」の記事。昨年や一昨年の記事ではない。今年1月28日の穂日付。ちょっと読んでみたい。

(南投中央社)中部・南投県の景勝地、日月潭周辺では今月末から3月上旬にかけて花見のシーズンを迎える。桜の開花に合わせて周辺の桜の名所では各種イベントなどが開催され、花見客を出迎える。(中略)校内に約1000本の桜が植樹されている?南国際大学(南投県)では、交通部(交通省)観光局日月潭国家風景区管理処と同大の共同で来月2日から3月14日まで桜フェスティバルを開催。お茶会やピクニックイベント、音楽やダンスのステージなどが催される。同管理処は、伊達邵親水歩道や慈恩塔歩道、魚池郷香茶巷、有水巷、金龍山歩道、信義郷光復巷などでも花見を楽しめるとして、来訪を呼び掛けている。

花見のシーズンで客寄せのニュース。そこにはコロナの一字もない。一年前から徹底した管理・封じ込めをした結果だ。

ではどのようにしてコロナを封じ込めたか?

東京都の1日の新型コロナ感染者がついに800人を超えた。かたや台湾ではコロナ対策が奏功し、4月12日以降、国内感染者ゼロが約250日続いている。日本と台湾の政府によるコロナ対策は当初から大きな差があった。その最たるものは水際対策の初動の遅れとミスジャッジだが、マスク供給をめぐる対応でも大きな違いがあった。台湾では2月にはマスクを国民全員に配布するシステムとマスクの在庫を知らせるマスクマップを作りパニックを防いだ。これらを実現できた背景にあるマスク国産化への政治決断と医療デジタルネットワークについて紹介する。(アジア市場開発・富吉国際企業顧問有限公司代表 藤 重太)
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現代時評plus《悩ましい日々 2》片山通夫

【ワクチン考】

昨年暮れから世界の国々で新型コロナのワクチン接種が始まったことは広く報道されているのでご存じのことと思う。ワクチン接種で世界で様々な問題が起きているようだ。
接種した方が亡くなったというニュースには接していないが、アレルギーを引き起こすという事例がとか。
また不浄とされる豚の成分が含まれているワクチンに対するイスラム社会の反発もやるせない。この豚成分が含まれているというワクチンがすべてのワクチンを指すのか、特定のワクチンを指すのかはわからない。困ったのはイスラム国家やイスラム教を信じる人々が多く住む国や社会だ。
イスラムの戒律は厳しい。ゆえにイスラムを信じる人たちの間でワクチンの接種が不安視されている。幸いなことに世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアやアラブ首長国連邦(UAE)でも「問題なし」とするファトワを出し、現在は接種が進んでいる。
註:ファトワ:ファトワを発令する権利があると認められたムフティーと呼ばれるウラマー(イスラム法学者)が、ムスリムの公的あるいは家庭的な法的問題の質問・要請に対して、口頭あるいは書面による返答として発せられる。 “現代時評plus《悩ましい日々 2》片山通夫” の続きを読む

現代時評《首相の危機管理能力》井上脩身

東日本大震災からあと1カ月余りで10年になる。26年前の阪神大震災、昨年からのコロナ禍を合わせて、この四半世紀の間に我が国は百年に一度の災禍に三度も遭遇することになった。阪神大震災は「地震が起きない」とほとんどの人が思い込んでいた関西で発生、東日本大震災は「安全」のはずの原発が過酷事故を起こし、コロナ禍については、「中国のこと」とよそごと視したのがつまずきの元となった。こうした国難に際し、時の総理大臣に求められるのは的確でかつ迅速な対応能力である。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下の今、国民の命を守るうえで、国のトップリーダーとしての危機管理力が問い直されるべき時であろう。 “現代時評《首相の危機管理能力》井上脩身” の続きを読む

現代時評plus《悩ましい日々》片山通夫

【初めに】

コロナウイルスから派生したと思われる新種が南アメリカあたりから出て、イギリスで多数発見されたという。一方わが国でも海外渡航歴のない方からも発見された。コロナウイルスがここまで蔓延すると一年前に誰が想像しただろう。まさに青天の霹靂。私は全くの素人であり、過去に取材先にはアフリカ諸国を避けていた経緯がある。野口英世氏博士の研究で名高い黄熱病やエボラ出血熱など感染症に対する恐怖があったことは事実。

ところで唐突にもワクチン担当相に河野氏が就くことになった。ワクチンの輸送や保管、会場設定といった接種をめぐる実務全般の管理だ。任務は厚労省だけでなく、ワクチンの輸送を扱う国土交通省、保管する冷凍庫に関わる経済産業省などに幅広くまたがるため、担当相には調整力が求められるが、独善が多い今までの彼の言動を見ると調整力に期待できるか疑問符が付く。決して彼が適役だとも思えない。東京オリンピック・パラリンピックを開催すると固い決意の菅首相だが、もし河野担当大臣が「失敗」すれば、オリンピックどころではないことになる。菅首相も姑息な手段に転じた。「失敗すれば」すべてを担当相に押し付けて、オリンピック開催もコロナの収束もできない無能大臣として後世にその名を残すことになる。 “現代時評plus《悩ましい日々》片山通夫” の続きを読む

連載コラム/日本の島できごと事典 その7《メガソーラー》渡辺幸重

宇久島_ 寺島_ 再生エネルギー基地

気候変動が問題になり、日本政府もやっと2050年カーボンニュートラルを宣言し、自然再生エネルギー政策を口にし始めました。一方、自然再生といえども巨大施設は環境破壊につながることが問題になっています。
地理的には五島列島、行政的には平戸諸島という有人島に2,179人(2015年)が住む宇久島(うくじま)があります。宇久島は「平成の大合併」で佐世保市になりましたが、人口は10年間に3分の1が減少し、この大合併で旧役場があった島で大幅人口減があった代表事例とされているところです。
そこに出力2,000キロワットの風車を50基設置する風力発電所と、島の4割の面積を使い、総出力480メガワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)という2つの再生可能エネルギー事業計画が持ちこまれました。風力発電所は国内有数の規模、メガソーラーはソーラーパネル約150万枚を設置する日本最大級のものです。これが実現すると、島の景観や地域社会はがらりと変わるでしょう。行政と業者は計画を進めていますが、住民や漁協などには自然環境や住環境の変化、景観の悪化などに対する危惧があり、十分な合意形成ができていないのが現状です。2020年12月には、反対派住民がメガソーラー建設事業に関して佐世保市が出した公園敷地の使用許可の取り消しを求め、監査請求を出しました。日本自然保護協会は両計画に対して「自然環境や文化環境を壊して小さな島を発電施設で埋め尽くす必要が本当にあるのか」と問題を指摘し、反対しています。
自然再生エネルギー事業はいいものだと思い込みがちですが、巨大開発は人間にも自然にも後戻りできない大きな環境変化を押しつけます。本来の「グリーン・リカバリー」なら地産地消ができる小規模施設を必要な分だけ作るという抑制が必要です。
宇久島は「五島富士」の異名をもつ城ヶ岳があり、韓国・済州島も眺望できる風光明媚な島です。近くの小値賀(おぢか)諸島も含め西海国立公園になっており、島を黒いパネルで覆うのは島を犠牲にする政策としか思えません。