現代時評《やってる感》片山通夫

巷間「やってる感」という言葉が話されている。言わずと知れた安部首相の政治を表現した言葉だ。
あたかも「やっている」というアピールだけがまかり通っている状況を指す。実際には決して結果を生まない。北方領土返還問題、原発問題、拉致家族問題、台風災害復興などなど・・・「やってる感」がはびこっている安部首相だが、ここにきて「誤魔化しようのない」大問題が起きた。 中国・武漢を発祥とするらしい「新型ウイルス」問題だ。厄介なことに豪華客船までが大きな舞台として出演している。北方領土問題や拉致家族問題は相手のある事で簡単には解決しないことは国民は理解しているはずである。そのような大問題をあたかも自分の手で解決できる状況にあるがごとく、国民、特に北方領土出身者の家族や拉致被害者の家族など、直接関な関係者がいる問題に「解決します」と大見えを切る首相の罪は大きい。
さて現在の国際的な大問題である「新型ウイルス」。これは誤魔化しようのない、今起こっている現実。まして政府の対応を問題視されている。

まず、大型クルーズ船。閉鎖的な空間に大勢の人間を留め置くという愚には驚いた。最初は何か奇策があるのかもと期待したが、何のことはない、何にもなかった。
このクルーズ船の細かい構造は筆者にはわからない。しかし空調設備がいわゆるセントラルヒーティングじゃあないだろうなと思う。ダクトで温風を各部屋に送っているのなら、もうガス室をほうふつとさせる。安倍さん、まさか違いますよね。

新聞には「首相動静」という欄がある。言葉通り首相の一日の動きを報じている。むろん公邸にいるとか私邸にかえったとか、これ以上詳しくはない。しかし「対策会議」60分とか、何とか料亭で、誰々たちと食事およそ2時間半とかはわかる。このところ首相はほとんど私邸泊まりで官邸にはあまりいない。それでテレビ向けには「インタビュー」を数分して、その日の夕方のニュースでいかにも「問題に取り組んでいる」感を出す。まるで上げ底。

コロナウイルス問題は「やってる感」では解決しない。このウイルスが収束しないとやってることにはならないからだ。それには下手すれば何。何万、何千人もの国民のウイルス検査を実施しなければならないかもしれない。安倍政権で予算を激減させた感染症の研究所ではおぼつかないかもしれない。

国会答弁で原発事故で「全電源の喪失は起こらない」と言い切った安倍首相はここにきて「コロナウイルスは私の手で収束させる」と大見えを切る度胸はないだろう。