現代時評《外交とは?》山梨良平

安倍総理は外交に異常な程の執念を燃やしている。しかし国民の大多数は、そんな総理の姿を冷ややかな目で見ているのではないか。決して支持しているわけではないだろうと思うのだ。一部のネット右翼といわれる熱狂的な安倍信者以外は…。

まず国の外交の実績を直近の外務省発行の外交青書で見る。
1)地球儀を俯瞰(ふかん)する外交と「積極的平和主義」
日本にとって望ましい、安定しかつ予見可能性が高い国際環境を創出していくためには、外交努力をもって世界各国及び国際社会との信頼・協力関係を築き、国際社会の安定と繁栄の基盤を強化し、脅威の出現を未然に防ぐことが重要である。この観点から、安倍政権発足以降、日本政府は国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、地球儀を俯瞰する外交を展開してきた。
この文言を素直に受け取ってみると、《安倍政権発足以降、日本政府は国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場》をとってきたようだ。積極的平和主義とは筆者の印象だが、あくまで米国を主軸にした放射線状の外交関係を目指していて、決して地球儀を俯瞰する外交とはいいがたいように感じる。
積極的平和主義

読者の皆様の印象は如何か。
さて首相の言う「地球儀を俯瞰する外交」の主軸のトランプ大統領との友好関係、プーチン大統領との交流密度などを盛んに国内で喧伝している。ところが、結果はどうか?北朝鮮のミサイル脅威を煽って米国製の武器を大量に購入することに陥っただけではないか?ここに来てトランプのアメリカは保護主義貿易摩擦を大方の国々と起こしている。

一方、朝鮮半島ではでは驚くべき事が起こっている。聯合ニュースによると《南北 共同警備区域の地雷撤去完了=25日までに兵力・火器撤収》 とあり《板門店の共同警備区域が非武装化へ 観光客がエリア内を自由に往来》ということになったようだ。また文・韓国大統領は訪欧して、フランス大統領やイタリア、ドイツ首相、そしてローマ法王とも会談したと伝えられる程の「外交」振りである。おまけにローマ法王は正式の招待があれば北朝鮮を訪問する用意があるとか…。これも韓国大統領の外交成果だ。

同じ時期に訪欧している安倍首相はASEM(アジア欧州会合)などの会議に参加している。そして《北朝鮮の非核化に向け、国際社会が結束して国連安全保障理事会決議を完全に履行する必要があると主張し、日本人拉致問題の早期解決に向けた協力を要請した》ようだ。
無論外交上の儀礼で各国首脳は《協力を惜しまない》とか口当たりのいいことを話したであろうが、先に紹介した韓国大統領の《外交成果》とは比べ物にならない貧弱なものだという印象しか受けない。

イスタンブールのサウジアラビア総領事館での《記者殺害》に関して筆者が知っている限り、日本政府は正式な反応は出していない。今トランプ大統領が盛んにツイッターで《この事件の真相を呟いていて》結論が出ていないので、我が国政府の見解は出せないのだろう。すべては《アメリカ様》の後追いなのだ・・・・。