かつて琵琶湖の水運を担ってきたのが「丸子舟」である。丸船ともいう。おそらく中世末期ないし近世初頭のころから近年に至るまで,琵琶湖で用いられてきた特異な小型~中型船(50石~200石程度)を指す。若狭湾(敦賀,小浜)から峠を越えて琵琶湖経由で京・大坂に至るルートは,日本海岸各地と畿内を結ぶ物資流通の大動脈であったが,この湖上を南北に縦断する航路の主役がこの船であった。その外観上最大の特徴は,船首部の形状にある。つまり,おけや樽をつくるように,下方をややすぼめた短冊形の板を,縫釘(ぬいくぎ)で円筒形にはぎ合わせ,ちょうど縦半割りにしたおけのような形の船首をつくる(船名の由来)。
写真は「北淡海・丸子船の館」で。