カテゴリー別アーカイブ: 現代時評

現代時評《沖縄基地闘争とテロ等準備罪》:井上脩身

沖縄県の高江ヘリパッド建設に抗議中に逮捕された山城博治沖縄平和運動センター議長(64)の勾留が、今月16日で5カ月にも及ぶことになった。有刺鉄線を切断した器物損壊容疑でこのような長期勾留は極めて異常だ。山崎議長が中心になって進める米軍基地反対運動に対する弾圧の一環であることは明らかであろう。政府は「テロ等準備罪」の新設を目指しているが、山城議長不当勾留をみれば、同罪の目的がはっきりする。政府に反対する運動は、それが市民団体であっても「テロを実行する組織的犯罪集団」として摘発し、根絶やしにしようというものだ。すでに同罪は事実上、前倒し的に実施されているのである。 続きを読む 現代時評《沖縄基地闘争とテロ等準備罪》:井上脩身

現代時評《今、SNSが面白い!》:片山通夫

最近、筆者はSNSに凝っている。面白いのだ。何がって?マスコミには載らないニュースが、真贋織り交ぜて無数と言って良いほどの本数が毎日毎日垂れ流されていることが、とても興味深い。無論、真贋の見極めは難しい。裏を取るったって、ソースが全く同じというケースでも、流される情報にはまるで正反対の場合もある。

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現代時評《テロ等準備罪の恐怖》:井上脩身

政府はテロ等準備罪の新設を3月中にも閣議決定する方針という。組織的犯罪集団がテロなどの犯罪の合意をし、準備行為をしたことを処罰するというものだ。05年に政府が提出し、廃案になった共謀罪の構成要件を絞り込んだものだが、その根底に流れているのは「共謀段階で一網打尽にする」という先手壊滅主義だ。政府は犯罪集団の具体例としてテロ組織のほか暴力団などを挙げ、「普通の民間団体は対象にならない」としている。だが、列車転覆の共謀をしたとして労働組合員が殺人罪に問われた松川事件の事例をみれば、政府批判グループの弾圧のために「共謀」を悪用する恐れがあると考えるべきだ。
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[:ja]現代時評《日米首脳会談を読み解く》:井上脩身[:]

[:ja]安倍晋三首相は10日、アメリカのトランプ大統領と首脳会談を行った後の共同記者会見で「日米同盟は強固な揺るぎない絆」と述べ、「緊密な関係」であることを強調した。問題は緊密の中身だ。同首脳会談の2週間前、米英首脳会談が行われ、「米英の特別な関係」を確認し合っている。米英の特別な関係とは、核兵器の共有にほかならない。その米英関係が日米同盟のモデルというのが従来のアメリカの態度である。トランプ大統領の最初の首脳会談の相手がイギリスのメイ首相、2人目が安倍首相であることを考え合わせると、トランプ政権は日米間の米英的特別関係化に一歩踏み出したと捉えるべきだろう。トランプ政権は近い将来、米国製核兵器の保有をわが国に求めてくる、と私はみる。
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[:ja]◇現代時評《素麺作りを作る夫妻》:片山通夫  [:]

[:ja]一年でもっとも寒いこの時期、大阪府枚方市で「河内素麺」を創っているFさん夫婦を尋ねた。「河内素麺」の歴史ははっきりしないようだが、江戸時代に、近在の一人の男が、三輪素麺の元へ修行に出て持って帰ってきたということだ。
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[:ja]現代時評《トランプ大統領とペリー提督》:井上脩身[:]

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 アメリカのトランプ大統領は就任とともにメキシコ国境の壁建設、中東アフリカ7カ国の人々の入国禁止など、排他的大統領令に矢継ぎ早に署名し、1月31日には日本と中国を「為替操作をしている」と名指しで批判した。いずれも法的根拠や事実に基づかない不当な政策や主張だが、トランプ氏は沸き上がる批判の声にも意に介さない。人権を損なうこうした明白な不正義も、トランプ氏にとっては「アメリカの白人の正義」なのであろう。メキシコ、イスラム教徒の国、日本――トランプ氏がやり玉に挙げた国、地域に共通する人物が私の脳裏に浮かび上がる。黒船を率いたペリーである。トランプ氏にとっての「グレートアメリカ」とは、世界に乗りだそうとした19世紀のアメリカなのではないのか。トランプ氏がいう「アメリカを守る」はこうした国々を屈服させることに違いない。


 メキシコ国境の壁建設は選挙中にトランプ氏が第一に掲げた公約だ。アメリカには1100万人の不法移民がメキシコから流入しているが、トランプ氏は「不法移民が治安を脅かしている」と主張、3150キロの国境線のうち、柵のない約2100キロに壁を造るとしている。250億ドル(約2兆8400億円)との試算もある建設費についてトランプ氏は「メキシコに払わせる」と強弁。メキシコからの要望もなく建設した壁の費用をメキシコに請求できる権利があるはずがない。この当然の指摘に対し、「メキシコからの輸入品に関税をかけて建設費にする」と、トランプ氏はあくまで高圧的である。

 中東・アフリカ7カ国の入国禁止は、①シリア、イラン、イラク、スーダン、イエメン、ソマリアの7カ国への査証発給を90日間停止②シリア難民の受け入れを無期限停止、他国の難民受け入れも120日間停止――を内容とするものだ。この大統領令によって、アメリカの永住権がある人や正当にビザを取得している人までアメリカに入国できなくなるなど、大きな混乱が起きているが、トランプ氏は「テロからアメリカを守るため」と正当化している。しかしこの7カ国の出身者が大規模テロに関与したケースはない。イスラム教徒締めだしが真の狙いであることは明らかだ。

 為替操作批判については、トランプ氏が米製薬大手幹部との会合で「通過供給量や通貨安などでアメリカを出し抜いている」と述べ、日本と中国を悪者扱いした。日本は2011年11月以降為替介入をしておらず、政府は「批判は当たらない」と戸惑いをみせる。

 メキシコ、イスラム国、日本。一見全く無関係に見える。ところが冒頭に述べたようにいずれもペリーの足跡があるのだ。

ペリーは海軍少佐だった1824年、地中海艦隊の旗艦の副長に就任。艦隊の目的の一つはトルコがアメリカと条約を結ぶ意思があるかどうかを探ることだった。艦隊はアルジェ、チェニスに立ち寄り、トルコの都市イズミル近くに停泊した(宮永孝『ペリー提督』有隣新書)。その前年、モンロー大統領がアメリカ孤立主義を示す「モンロー宣言」を表明したが、その一方でイスラム教徒の国であるトルコに強い関心をもっていたのだ。

 1846年、米墨戦争が勃発し、ペリーはメキシコ湾艦隊司令長官としてメキシコ軍守備拠点を粉砕、アメリカの勝利に貢献した。この戦争によってメキシコ領の半分を得たアメリカは、大西洋から太平洋までの広大な国土をもつ国になった。さらにペリーは東インド艦隊司令長官として1853年、4隻の黒船を引き連れて浦賀沖に停泊、幕府に開国を迫った。ペリー来航については詳しく述べるまでもないだろう。

 こうしてみるとペリー当時のアメリカがもつ世界観が、170年後の今もDNAとなってアメリカの白人に脈々と流れ、トランプ氏がさらに荒っぽく実行しようとしていることがみてとれる。ペリーは黒船をバックに幕府官僚を威圧し、目的を遂げた。トランプ大統領がペリーを真似ているわけではないだろうが、有無をいわさず相手を屈服させる強圧的態度には共通するものがある。

 安倍晋三首相は10日、トランプ大統領との首脳会談に臨む。安倍首相は「言うべきは言う」というが、聞く耳を持つ相手ではない。安倍首相は、牙をむいて待ち構える狼の所にのこのこと出かける赤ずきんちゃんを演じようとしている。

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[:ja]現代時評《真珠湾演説の問題点》:井上脩身[:]

[:ja]安倍晋三首相は12月27日(日本時間28日)、オバマ大統領とともにハワイの真珠湾を訪れて戦没者を慰霊し、「私たちを結びつけたのは和解の力」と演説した。マスコミ各社は「歴史的な和解の終着点」とおおむね好意的評価だ。だが、戦後一貫してアメリカのいいなりになってきた日本は、十分過ぎるほど「和解」してきたはずだ。戦没者慰霊にけちをつけるつもりはないが、わが国にとって最重要課題は太平洋の安定化である。アメリカに対してのみ過度な和解にのめり込むことは、結果として中国、ロシアとの関係の不安定化につながり、緊張を高めるだけである。
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[:ja]現代時評《プーチン大統領の腹の底》:井上脩身[:]

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安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領との間で15、16の両日に行われた首脳会談は、北方領土について「共同経済活動実現に向けた協議開始の合意」だけに終わった。安部首相は「平和条約締結に向けての大きな一歩」と胸を張ったが、プーチン大統領に翻弄され、何の得点もなく苦杯をなめさせられた、との印象は拭えない。
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