現代時評《東アジアの危機》:片山通夫

危機は依然として去らない。北朝鮮の核問題がここまで大きくなったことについてよくよく考えてみたい。

先週ロシアのウラジオストックで開催された東方経済フォーラムで、プーチン大統領は「北朝鮮をめぐる軍事的なヒステリーを加熱させても非生産的だと再度強調した」とスプートニクが伝えた。

一方、このフォーラムに参加した安倍首相は「安倍首相、国際社会に呼びかけ 前代未聞の脅威の北朝鮮に対して最大限の圧力を」と訴えた。二人の思惑は大きく異なる。

安倍晋三首相は「異次元」だの「断固」だの「断じて」だの強い言葉だけ発する。落ち着いて各国の首脳の言い分を分析すべきだ。

ところで筆者の調べでは北朝鮮核に関するの軌跡は次の通りである。少し無駄と思われる方もおられるかもしれないが、重要だと思うので振り返ってみたい。

1994年6月 – 国際原子力機関 (IAEA) からの脱退を宣言。
1994年10月 – 北朝鮮国内での核開発の凍結、国交の正常化への道筋の枠組みで米国と合意。
2002年10月 – ケリー米国特使が北朝鮮を訪問。北朝鮮が高濃縮ウランによる核開発の計画を認めたと米国が発表。
2003年1月 – NPTからの脱退を宣言。
2005年2月 – 核兵器の保有を宣言。
2006年7月 – 長距離弾道ミサイルを発射。
2006年10月 – 初とされる地下核実験を実施。
2009年4月 – 長距離弾道ミサイルを発射。
2009年5月 – 2度目とされる核実験を実施。
2010年11月 – 韓国の大延坪島を砲撃。
2012年4月 – 「人工衛星を打ち上げ」も空中で爆発(実際は長距離弾道ミサイルを発射か)。
2012年12月 – 長距離弾道ミサイルを発射。人工衛星の軌道への投入に成功と発表。
2013年1月 – 国際連合安全保障理事会、北朝鮮に対する制裁を強化する決議を採択。
2013年2月 – 3度目とされる核実験を実施。
2014年3月 – 日本海に向けて中距離弾道ミサイル、ノドンを2発発射。
2016年1月 – 4度目とされる核実験を実施。「水素爆弾の実験に成功」と発表。
2016年9月 – 5度目とされる核実験を実施。
2017年9月3日 – 6度目とされる核実験を実施

次に朝鮮半島は南北間で「休戦状態」にあることを認識すべきである。

朝鮮戦争:朝鮮民主主義人民共和国 (北朝鮮) と大韓民国 (韓国) の間で 1950年6月に始った紛争で,およそ 300万人が命を落した。米軍を主体とする国連軍が韓国側に立って戦争に参加し,また中国が最終的に北朝鮮支援に動いた。戦況は目まぐるしく変化した末,戦争は 1953年7月,決定打のないまま終結(休戦)した。

 

この朝鮮戦争もだが、アメリカは調べてみるととても好戦的な国だ。すこし同国の歴史(参加した戦争)を振り返ってみた。

ベトナム戦争 ベトナムの独立と統一をめぐる戦争。1960年結成の南ベトナム解放民族戦線は,北ベトナムの支援のもとに,南ベトナム軍およびこれを支援するアメリカ軍と戦い,69年臨時革命政府を樹立。73年和平協定が成立しアメリカ軍が撤退,75年南ベトナム政府が崩壊,翌年に南北が統一された。

1991年1月-1991年3月、湾岸戦争。
1992年12月-1994年3月、ソマリア派兵。
1993年1月、イラク空爆。アメリカ軍(ブッシュ大統領・共和党)は、湾岸戦争の停戦条件で規定されたイラクの大量破壊兵器廃棄義務に対する違反行為の疑いを理由として空爆を行った。
1993年6月、イラク空爆。アメリカ軍(クリントン大統領・民主党)は、湾岸戦争の停戦条件で規定されたイラクの大量破壊兵器廃棄義務に対する違反行為の疑いを理由として空爆を行った。
1994年9月-1995年3月、1994年-1995年のハイチ派兵。
1996年9月、イラク空爆。
1998年8月、スーダン空爆。
1998年8月、アフガニスタン空爆。
1998年12月、イラク空爆。
1999年3月、コソボ空爆。
2001年2月、イラク空爆。
2001年10月 -(2007年6月現在継続中)、アフガニスタン戦争。
2003年3月 -(2007年6月現在継続中)、イラク戦争。
2007年1月、ソマリア空爆。
2008 – アフガニスタン、イラク、パキスタンと、イエメン対テロ戦争
2009 – アフガニスタン、イラク、パキスタンと、イエメン対テロ戦争

2010 – アフガニスタン、イラク、パキスタンと、イエメン対テロ戦争
2011 – アフガニスタン、イラク、パキスタン、ソマリアと、イエメンで対テロ戦争; リビアでの紛争(リビア内戦)
2012 – アフガニスタン、イラク、ソマリア、シリアとイエメンで対テロ戦争
2013 – アフガニスタン、イラク、ソマリア、シリアとイエメンで対テロ戦争
2014 – アフガニスタン、イラク、ソマリア、シリアとイエメンで対テロ戦争
2015 -ソマリア、シリアとイエメンで対テロ戦争、

このように見てみるとアメリカは第二次大戦以降に起こった世界での戦争や内乱などに必ず首突っ込んでいる。アメリカ以外の土地でである。

そしてアメリカは外交政策において、アメリカ政府・議会の多数派の目的と、政治的、経済的、軍事的な利益を追求することに都合が良いと判断した場合には、独裁政権を支援することもある。そして都合が悪くなると態度を一変させる。

ただ今回の北朝鮮の核問題に関しては少し趣が違う。北朝鮮はICBM(大陸間弾道弾)を持ち、その射程にアメリカ本土を収めていると公言している。同時に直近の核実験では、ICBMに搭載可能な水爆を開発したとも…。これは今までの「よその庭での戦争」でなくなり、直接的にアメリカ本土が脅威にさらされたということになる。
しかし冷戦時代を振り返ってみると、旧ソ連や中国などとも対峙していたし、両国とも、ICBMでアメリカ本土を射程におさめることができたし核弾道を保持してきた。またインドやパキスタンも同様の核を保持しているようだ。何よりもアメリカの同盟国であるイスラエルも!
こうして考えるとなぜ北朝鮮だけをアメリカは目の敵にしているのか、いささかならずとも疑問である。(2017/9/9記)