現代時評《日本を取り巻く各国の外交能力を侮るな》:片山通夫

米朝なのか、朝米なのかはともかく、両国が盛んに挑発を繰り返している。そんななか、ロシアのメドベージェフ首相は《南クリル諸島(北方領土)における先行社会経済発展区(TOR)「南クリル」の創設を承認した。ユジノサハリンスクにおける与党「統一ロシア」の活動員たちとの会合の中で、首相自身が明らかにした》とスプートニクが伝えた。
 これは安倍首相にとって、頭の痛い措置だ。「ロシア法に従って活動することを前提とした特区」であり、北方領土の主権はロシアにあるということを、日本側が認めざるを得ない説くことにほかならない。これはプーチン大統領と「親しい仲」のつもりだった安倍首相にとって、我慢ならない状況だと言える。

一方、米朝はさや当てを繰り返しながら、相手の出方を探り合う状況が続いている。ドイツなどは「武力で問題は解決しない」と盛んにけん制している。ロシアも中国もまたしかりだ。下手をすれば多大な被害を受ける当事者でもある韓国も、アメリカを盛んにけん制している。

わが国だけが「ミサイル防衛」だの「強固な同盟国」だのと、アメリカと一体化した姿勢を世界に見せつけている。

筆者は《1971年のキッシンジャーの中国訪問から始まった米中国交回復の動きは、1972年2月のアメリカ大統領ニクソンの訪中による米中共同声明で一定の成果を上げた。この時に米中双方による事実上の相互承認が行われたが、正式な国交正常化は、カーター大統領と鄧小平との間の交渉によって、1979年に成立した。この結果、アメリカは台湾の中華民国政府と断交し、1980年に米華相互防衛条約が失効した》という史実が最近頭をよぎる。

密使キッシンジャーの中国訪問に代わる密使が例えば北京で米朝交渉をして、突然ピョンヤンを訪れるというニュースがピョンヤンからドイツやフランスなどEUの国のマスコミから伝えられるということになりはしないか。

そうなることによって、アメリカは北朝鮮のICBMを無力化できる。冷戦時代、旧ソ連も中国も核を持っていて、アメリカと敵対していた。アメリカは朝鮮戦争やベトナム戦争などで中ソと「代理戦争」をしていたが、核をもてあそぶことだけは双方はしなかった。

今、不幸なことに北朝鮮の核技術と大陸間弾道弾の開発技術は、我々の想像を超えるスピードで行われているようだ。アメリア人はこの事実を認めなければならない。インドやパキスタンの核を認めたように。そうでないと北朝鮮は後には引かないだろう。何しろインドやパキスタンと言う前例があるのだから…。

話は戻るが、ロシアのプーチン大統領は決して北方領土を日本には渡さないだろう。何しろことあるごとに「アメリカとは強固な同盟国」だと吹聴する安倍首相が相手なのだから。返せばアメリカの基地が沖縄の様に出来、ロシアに向かって牙を研ぐことになる可能性が高いのだから。自国の安全を無視してまでの返還はあり得ない。

つまりロシアも、米朝両国も「自国の安全を無視して」の行動はあり得ないと思う。自爆行為は追い詰められたテロリストだけだ。北方領土でもアメリカべったりの政策でも、他国の笑いものになるのがオチだ。日本を取り巻くロシア、中国、韓国そしてアメリカ、北朝鮮のしたたかな外交能力を侮ってはいけない。

2017/8/29  609studio email newsletter から