[:ja]◇現代時評《誰が土人やねん?》:片山通夫[:]

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原発再稼働慎重派の知事が、東京電力柏崎原発を抱える新潟県に誕生した。川内原発を抱える鹿児島県と同じような流れになった。
・・・とここまでは理解できるが、さっぱりわからんのが民進党の動き。

選挙戦ぎりぎりの時点で、急きょ民進党の連坊代表が応援に入ったという。そして結果はご承知の通りだ。《民進党の蓮舫代表は17日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に反対する米山隆一氏=共産、自由、社民推薦=が当選した16日の新潟県知事選の結果を受けても、民進党の原発政策は変わらないとの認識を示した。「(民進党は)2030年代に脱・原発依存という軸を掲げている。これ(選挙結果)で大きく変わることはない」と述べた。都内で記者団に答えた》。
  民進党のアキレス腱は連合との協力関係だ。これは今回の新潟知事選でもちぐはぐな対応に終始した。一体、連合の電力関連の勢力はどのくらいあるのだろうか。加盟組合員は約686万人だという。このうち、全国電力関連産業労働組合総連合は加盟団体数約230で組合員数21万8,698人だとか。微々たる数字だと思われる。きっと資金援助がすごいのかもしれない。

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《誰が土人やねん?》

・・・とここまで書いていたら、とんでもないニュースが流れてきた。かくして現代時評のテーマは《誰が土人やねん?》に代わる。

まずご存じない方のためにこのニュースを琉球新報から一部転載する。《県警は19日午前、18日に東村高江の米軍北部訓練場周辺で行われていた警備活動中に、大阪府警の機動隊員が、工事に反対する人々に「土人」と発言した事を認め「発言は遺憾であり、今後そのようなことがないよう指導していきたい」と謝罪した。県警警備部によると、不適切な発言をしたのは大阪府警の20代男性機動隊員。・・・》

大阪府警から派遣されていた20代の機動隊員は抗議をする市民に対し「どこつかんどるんじゃ、ぼけ、土人が」などと発言していた。

筆者はこの「土人」という言葉にいろいろ思い出すことがある。無論決して楽しい話ではない。そこには言われない理由で他の民族を蔑み、独善的な優越感、もっと言えば1850年代にフランスの外交官ゴビノーが人種的な優劣を論じた「人種不平等論」があった。ヒットラーはこの論に飛びついた。

後年、DNAの構造が解明された1953年、ゴビノーの説に科学的根拠があったわけではない。また、アーリア人とは中央アジアの遊牧民で、紀元前1500年以降、西北インドやイランに進出した人々をさしている。人種としてのアーリヤ人が存在するわけではない。ところが、ナチス政権はこの書をユダヤ人の差別と迫害を正統化するバイブルとして利用した。これに、先の宗教的な憎しみも加わり、単なる差別から、迫害、虐殺へとエスカレートしたのである。

このナチスドイツのユダヤ人迫害が典型的な人種差別だが、我々の周りにも差別はあった。「土人」の言葉で思い出すのは旧樺太(現サハリン)に日本人が作った「オタスの杜」。これは敷香町(現・ポロナイスク)にあった先住民集落を指し幌内川と敷香川に分れる三角州の砂丘地に位置し、敷香市街とは敷香川によって隔てられ島の様な地形となっていた。

ここに樺太原住民族であるオロッコ(ウィルタ)、ギリヤーク(ニヴフ)、サンダー(ウリチ)、キーリン(エヴェンキ)、ヤクートの5民族の多くが集められた。

さらに1930年7月にはそこで「オタス土人教育所」が建設され、1936年にはオタス神社が竣成された。原住民に対しては日本語教育等が行われたが、アイヌ以外の先住民族には日本国籍が与えられなかった。

記録によるとこのオタスの杜は観光地としても栄えて、東京などからも「見学に日本人が訪れた。さながら「先住民博覧会」の様相を帯びていたようだ。

 見世物である。

そういえば、かなり以前の話だが、第5回内国勧業博覧会というのが1903年に大阪・天王寺で開かれた。明治時代、富国強兵の手段として盛んに「内国勧業博覧会」というものが開催された。この博覧会もそうで、「学術人類館」において、アイヌ・台湾高砂族(生蕃)・沖縄県(琉球人)・朝鮮(大韓帝国)・支那(清国)・インド・ジャワ・バルガリー(ベンガル)・トルコ・アフリカなどの合計32名の人々が、民族衣装姿で一定の区域内に住みながら日常生活を見せる展示を行ったところ、沖縄県と清国が自分たちの展示に抗議し、問題となった。無論彼らは見世物として蔑視されたと感じたからである。

また我が国は「北海道旧土人保護法」なる法律を制定したのは1899年3月2日。廃止したのはやっと1997年7月1日のことである。平成の世にも生きていたのだから恐れ入る。
残念ながら我々日本人の感覚がおかしいとしか思えない。
同法は北海道アイヌ民族への日本への同化を目的とした。彼らの川や原野など狩猟に適した土地を奪って「なれない農業を指導」するのが目的だった。ここでも立派に「土人」という言葉がまかり通っている。
戦争中も「南洋の土人」など、また一般的に「未開発地域に住む人々」を指すようだ。だから、ネット上では植民地以前の「朝鮮土人」なんて言葉も、蔑視を目的にして出てくる。
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さてこの機動隊員の「土人」発言だが、当の大阪府知事は報告を受けて「機動隊員、職務は一生懸命やっていた。言ったことは悪いし反省すべきだが、職務遂行について彼は一生懸命やっていたことは認める」という趣旨の発言をしたという。この方も感覚がおかしい。あまりにも無神経なことばだ。
大阪府警の機動隊員が発した「土人」発言なのだ。
大阪のTOPがこうだから末端の機動隊員までが…と思われても仕方ない。そういえば同じ大阪の前市長が沖縄の米兵が女性をレイプ・殺人事件のあと「もっと日本の風俗業を活用してほしい」と促していたことを明らかにした。「風俗業を活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーをコントロールできない」と伝えたというが、司令官は「米軍では禁止されている」などと取り合わなかったという。

もちろん批判を受けて「言い過ぎだった」と取り消したという話だが、そもそもの発想がこうだから信じられない。

「日常的に《土人》という言葉を大阪府警は使っているのか」という疑問が残る。沖縄県警や政府の通り一遍の「遺憾」などという「軽い言葉」で終わらせてはならない。政府は第三者の調査委員会を立ち上げて日常的にこのように沖縄に対する蔑視が警察内部や、ついでに海上保安庁、自衛隊にもないかどうか調査すべきだ
それが沖縄県民はもとより、国民に対する「謝罪」と「対策」ではないか?

 政府は第三者の調査委員会を立ち上げて日常的にこのように沖縄に対する蔑視が警察内部や、ついでに海上保安庁、自衛隊にもないかどうか調査すべきだ

  それが沖縄県民はもとより、国民に対する「謝罪」と「対策」ではないか?[:]