[:ja]現代時評《北方領土と安倍首相》:片山通夫[:]

[:ja]この稿を書いている間に、ニューズウイーク日本語版で面白い記事を見つけた。まずは原文を読んでもらいたい。タイトルは《プーチンをヨーロッパ人と思ったら大間違い》読みようによってはとても失礼な話だ。⇒newsweekjapan

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首相にとっては「国益」の為ではなく、首相個人が後世に名を残すためにが身者らになってきているとしか思えない。9月30日に衆議院で行った演説で次のように述べた。《平和条約締結と「四島返還」をめざしロシアと広範な経済交渉を行う》

過去70年間にわたって解決できなかった問題の解決は甚だ難しいとは思えるが解決にむけ全力を尽くす所存のようである。

こんなに内外に公言するには、相当の自信とその裏付けがあるとみるのが当然だ。その知恵袋があの鈴木宗男氏のようだから、いささかどころか相当心もとない。安倍首相はかつて鈴木宗男氏が北方領土に「ムネオハウス」と呼ばれるものを作り、世間の総スカンを食い、その挙句《別件で逮捕・起訴そして有罪判決確定》に至ったことは、十分理解しての話だと思うのだが・・・。いや、相当の自信とその裏付けが本当にあるのだろうか?

いまさらこの問題を蒸し返そうと思っているのでは毛頭ない。ただ同じような手段で、ロシアに食い入ろうとする姿勢はいただけない。つまり首相は5月のソチでの日ロ首脳会談で、(1)日本式の最先端医療機関整備など健康寿命の伸長(2)都市整備(3)中小企業支援(4)エネルギー生産能力の向上(5)産業多様化の促進(6)極東地域の産業振興(7)原子力やIT分野などの技術協力(8)人的交流の拡大-の8項目をプーチン大統領に提示した。何でもこれが「新しいアプローチ」だそうだ。

事実かどうかはわからないが「領土返還見返りに シベリア鉄道延伸求めるプーチンの思惑」という記事が目についた。日刊ゲンダイの記事である。《完成100周年のシベリア鉄道を延伸し、サハリンから北海道をつなぐ大陸横断鉄道を、日本に造るよう求めている》という。もちろん夢は大きいほうがいい。ちなみに青函トンネルは津軽海峡の海底下約100メートルの地中を穿って設けられたトンネルで、全長は53.85キロメートルある。サハリンと北海道とは直線最短距離でたったの43キロである。日本の技術でやってやれないことはないのだろう。莫大な費用を除けば…。 まさか本気で「シンゾウ・トンネル」を作るとは思われないが・・・。 ロシアからの報道を見ると、盛んに日本をけん制している記事が目につく。例えば次の通りだ。《極東連邦管区の大統領全権代表ユーリ・トルトネフ氏が、ロシアと日本はクリル諸島で協力関係の発展を始める可能性があるとの声明を出した》 要は日本に《経済協力」させようという腹なのだろう。

もう少し報道に目を向けよう。
《「まずは歯舞と色丹の返還に片をつけ、同時に経済協力を推進。残る択捉と国後の帰属は継続協議とし、平和条約締結に道筋をつけるというシナリオで、かつて日ロ交渉に携わり、現在も安倍首相に対ロ外交を助言する鈴木宗男元衆院議員の提言と似ている」との自民党の参院議員阿達雅志氏の言葉をロイターが伝えている。日本がもし本気でそのようなアプローチをとるならば、それは1956年のモスクワ宣言への回帰を意味する。平和条約締結後に善意で2島を日本に譲渡するというものだ。スプートニクの取材にロシア高等経済学校で教鞭をとる日本の専門家アンドレイ・フェシュン氏が述べた。「ロシアとの平和条約は安倍首相にとっての強迫観念だ。彼はそれで歴史に名を残したい。仮に領土問題で最終決着できなくても、少なくとも大前進を遂げることで。しかしそれで双方が何を得るか?日本はわずかにもせよ領土が拡張する、安倍氏は面目を保ち、外交的勝利と目される。ロシアは1956年宣言の条項が実現したところで何らの利益も得ない。両国関係にブレーキをかけているのは平和条約の欠如ではなく、相互信頼・理解の欠如だ。経済を成長させ、日本を含むあらゆる国と対等な関係を維持することで、我々は遥かに多くのものを得ることが出来る。それにロシアの世論は日本に対するいかなる領土的譲歩も支持しない。プーチン氏が絶大な支持率のもとで世論に逆らう行動に出るか、私にも疑わしい》

何度も書くようだが、世界の反発を受けてでも、クリミアを手中にしたロシア、中東でしたたかな外交的、そして軍事的手腕を発揮しているロシア。もしかして歯舞・色丹の二島は返そうという腹なのかもしれない。今、いずれが得策か考えているのかとも思える。
果たしてプーチン大統領は、領土で何らかの譲歩を試みるのだろうか?それとも・・・。

 

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