現代時評《軍拡スパイラル》:片山通夫

8月22日、米国と韓国は「北朝鮮の領土を占拠する目的」の大規模な軍事演習を開始した。これに対し北朝鮮は「米国と韓国を先制核攻撃する」と威嚇、潜水艦からのミサイル発射実験を行った。

このところ、韓国も日本も「対北朝鮮の脅威」の存在を理由に軍事的強硬策を取りつつある。特に日本は対中国(尖閣列島関連)からの脅威を声高にして軍拡への道を突き進みつつあるように見受けられる。例えばそれは防衛費の増大に見ることができるし、大学に軍事的な研究を進めるということにも、顕著にみられる。

筆者から見ればこれらの事象はまさに「軍拡競争スパイラル」そのものだ。国民に北朝鮮の脅威と尖閣列島の危機をあおるというやり方は、まさに戦前の状況に酷似している。おまけに「テロの脅威」まで持ち出して、「予防拘束」的な法案まで用意していると26日付の朝日新聞にあった。

国民はますます貧乏になり、「北朝鮮や中国の脅威」を理由に国は軍事費に過去最大の予算を毎年更新し、戦後まれな内閣が存在しえる現状は、まさに「軍拡スパイラル」の様相を帯びてきた。

一方、安倍政権はロシアに対しては、北朝鮮に対するような露骨な態度はとっていない。

北方領土と言う懸案の領土問題を抱えている上に、「無法」にもクリミア半島を併呑し、ウクライナに対して執拗に嫌がらせをするロシアには寛大である。このあたりがなかなか理解しがたい。おそらく、北方領土返還と言う夢を国民に見させているだけであり、国際的に「孤立しているプーチン大統領のロシア」と「話ができる首相」と言うイメージ作りの為だけであろう。売名行為でしかない。

中国の尖閣列島に対する執着はひとえに我が国の「右傾化」に起因すると筆者は考える。当初は尖閣列島の問題は「棚上げ」するということで、日中間では了解済みだった。ところが元・石原東京都知事が、個人所有だった同島を買い上げるとして、寄付金集めをやりだした。そこへ国が「それなら国有化」と浅はかにも国有化してしまった。個人所有の間は火種こそあっても、棚上げという形で収まっていた。それを右傾化しつつあった我が国は浅はかにも国有化してしまって、一気に燃え上がらせてしまった。

 

北朝鮮における脅威と尖閣でもめている中国を相手に、我が国の政府は、具体的な政策を持っているのだろうか。軍事費を膨張させて緊張をいやがうえにも増やすという政策は、戦前我が国がとった最悪の政策だったというのに…。

世界は緊張の一途である。残念なことに「軍拡スパイラル」はすでに始まっている。