現代時評《オバマのハバナ訪問・雑感》:片山通夫

21日、アメリカ大統領がハバナを訪問した。世界のマスコミがこの快挙を伝えたことが言うまでもない。何しろあの《ブロケオ(経済封鎖)》、《一触即発のキューバ危機》の頃考えると驚くべき両国の関係改善だといえる。

しかしまだ両国の間には深い溝がある。キューバの人権問題、それにアメリカの禁輸措置の未解決問題だ。カストロ議長は会談後の共同会見で、キューバの経済発展に向けた努力は進んでいるが、米国との間にある最大の障害は禁輸措置だと指摘。オバマ政権による制裁緩和は不十分だと主張した。しかし会談後の記者会見でカストロ議長は驚くべきかもしれないが、記者からの容赦のない質問にも答えるという態度を見せた。

余談だが、我が国の首相や官房長官の会見などは記者クラブという調整機関で調整された質問をあらかじめ決められた記者という「三文役者」が質問するという猿芝居を記者会見などと称している。時折、政治家が「ぶちぎれる」状況の映像がテレビでも流れることがあったが、最近ではめったに見られない。周到なメディア対応(=規制)を行っている安倍政権だ。こんな状態の我が国に比べればカストロ議長の記者会見での質疑応答は驚くべき柔軟性だといえる。

さてその会見だが、アメリカ側の要求する「人権問題」を質問されたカストロ議長だが、本来《政治犯など存在しない国》が建前である。彼は「政治犯のリストを示してくれればすぐに釈放する」と回答したとCNNは伝えている。したたかな男だ。

話は変わるが、キューバは筆者には懐かしい国だ。オバマ大統領が散策したという旧市街は、新市街はアメリカ風であるのに対してスペイン時代の名残そのままの町である。その分道路は狭いし人も多い。しかしなんとなくなじみのある町の趣だ。ちょうどバルセロナのゴシック地区のような雰囲気である。

また《50年代もののアメ車》がまだ走っているのもハバナという町だ。時々、いや概してというより、往々にして降るスコールの中、ワイパーが動かない車にもお目にかかれる。スコールというからにはバケツをひっくり返したような雨だ。普通に動くワイパーでも前は見えにくい。それが・・・。あとはご想像に任せたい。

アメリカの経済封鎖や亡命キューバ人の反攻、また東西冷戦時代を耐え抜いたキューバという国は相当したたかだと思う。「マンボとパチャンガのリズムに乗って起こした革命」とはよく言ったものだ。しかし革命の実態は決してマンボのように陽気なものではなかった。シャラ・マエストラという奥深い山脈に立てこもっての革命闘争は決して楽しいものではなかったと思う。それでもキューバ人は「マンボのリズムに乗って」革命を起こしたと表現される。昨今のテロとはその趣が違うようだ。

願わくはキューバが世界の人々から「開かれた国」と思われるようになってほしいものだ。国境なき記者団からも同様の評価を受けるような。