◆現代時評《ロシアとトルコ》:片山通夫

複雑な様相を帯びてきた。

ロシア軍機の撃墜を受けてトルコ側から申し入れのあった首脳どうしの電話会談について「謝罪する用意が見られない」として、拒否したという。

プーチン大統領は激しい怒りをもってトルコを非難している。トルコのエルドアン大統領は「3回目の領空侵犯の時であり、どんなに協力関係にあっても主権を侵害してよい理由にはならない。ただ、起きたことについての悲しみは表明した」と述べるにとどめた。

この問題を複雑にしているのは、過去十数回に及ぶロシアとトルコ(オスマントルコを含む)の戦争であり、スラブ民族とトルコ民族との軋轢が今なお両者に残骸としてても残っているという事実の表れなのかもしれない。

筆者はスラブ民族の住むバルカン半島をくまなく歩いたことがある。そこで聞いた言葉のひとつに「オスマントルコの軛(くびき)」があった。

意味は言葉の通りだが、ブルガリアは実に500年の長い間、オスマントルコに支配されていたという。オスマントルコはイスラムの国である。一方のブルガリアはロシア正教と同様ブルガリア正教、つまり東方キリスト教。ブルガリアの首都ソフィアで、地下に潜ったブルガリア正教の教会を見たことがあった。

オスマントルコの目を避けての地下教会だった。

500年の軛から解放されても、スラブ民族のイスラム、いやトルコに対する感情は簡単には消えないと思われる。その影響がプーチン大統領をして強硬な態度にし、エルドアン大統領もかたくなにその考えを変えることができないのではないだろうか。

ちょうど、日本と韓国や中国との関係がギグシャクしている原因が、関係国のその歴史的事実と同様に。