現代時評《地方創生の妙技》片山通夫

このほど高橋はるみ北海道知事がサハリンを訪れた。ロシアからの報道によれば「ロシア連邦サハリン州のオレグ・コジャミャコ州知事は、北海道の高橋はるみ知事に対し、両地域間のビザを廃止する問題を検討してはどうかと提案した。日本代表団のサハリン訪問中、双方は、この問題を討議したとの事だ。サハリン州政府報道部が伝えた。」とある。

筆者も長年にわたってサハリンを訪れているが、必ずビザが必要なので面倒だ。おまけに滞在先のホテルなどの証明も必要でパスポートを持って内務警察に届け出なければならない。この夏に戦後70年のイベントでユジノサハリンスクを訪れたときは、招待元の大学がビザフォームを手配してくれたので、それをもって在日ロシア領事館でビザの発給を受けた。同じ時期にサハリンへ渡った韓国人はビザは不要だという。

ロシアと日本の間には平和条約が結ばれていない。これが最大の原因だ。つまり外務省のHPから読むと「北方領土の我が国へ返還されないから平和条約は結べない」ということだ。

サンフランシスコ条約で日本が独立した時の韓国との竹島問題、中国との尖閣列島問題も同じくその帰属ははっきりしない。それでもそれぞれが「実効支配」している状況は北方領土と同様だ。

戦後、一貫してアメリカの影響下にあったわが国は、アメリカの意向を無視して、中国や韓国、ソ連(当時・現ロシア)との国交交渉などはできなかったように感じる。それが現在の沖縄問題や原発問題、そして北方領土問題に大きく影響しているわけである。

話はビザ問題に戻る。済州島(韓国)は180か国を対象にビザなし渡航を認めている。これは韓国中央政府からの権限移譲で実現した。そして国際自由都市としての機能を優する韓国の地方都市でもある。

さてサハリン島と北海道が「ビザなし渡航」を相互に認めることができれば、経済交流はもとより、文化的にも大いに発展する可能性がある。日本人がサハリンへ行くのに、そしてロシア人が北海道に来るのに面倒なビザを必要としなかったとすれば・・・。

おそらく中央官僚上がりの高橋知事は柔軟な頭脳を持ち合わせていないだろうし、我が国の外務省も安倍政権もおそらく「自らの権限を縮小する」ような政策は決してできまい。「地方創生はここから始まる」と打って出れば歴史に残る政権になるのだが…。